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 2020年のベラルーシの脱ルカシェンコ運動の際に思わぬ形で野党統一リーダーの役回りを演じたS.チハノフスカヤは、最近では他の民主派陣営から「武力でルカシェンコ政権を倒すために立ち上がるべきだ」「お前は外国で演説するだけ」などと批判され、すっかり求心力を失っている。

 2020年の時に私は、ウクライナと違って、ベラルーシでは「ルカシェンコなき親ロシア路線というのも可能」ということを指摘した。現に、こちらに見るとおり、チハノフスカヤも当時は、ロシアとの連合国家の破棄を主張する急進野党とは一線を画し、ロシアとの関係は現状維持という姿勢だった。

 しかし、今般ミュンヘン安全保障会議に出席したチハノフスカヤは、テレグラムチャンネルにおいて、ベラルーシがロシアとの連合国家、集団安保機構条約から離脱すべきだとの声明を、2月19日付で発表した。内容は以下のとおりとなっている。

  1. ベラルーシはロシアとの連合国家から離脱する。2022年2月24日以降、ロシアとのパートナーシップに展望は見いだせなくなった。2020年ベラルーシ大統領選後にルカシェンコ体制とロシアの間で結ばれたすべての協定は、無効と見なされるべきだ。ロシアとのすべての経済取り決めは、ベラルーシの国益に沿って見直されなければならない。
  2. ベラルーシは集団安保機構条約およびロシアとの軍事同盟から離脱する。我が国は侵略国と同じ軍事同盟に属すわけにはいかない。現時点でロシアはベラルーシでハイブリッド占領を実施している。
  3. ベラルーシは、その他の隣国、とりわけウクライナ、ポーランド、バルト諸国との関係を正常化し、広範な地域協力を開始する。
  4. ベラルーシは欧州諸機構およびEU加盟諸国との協力拡大を志向することになる。ベラルーシは欧州評議会に加盟する。EUとの長期的な協力戦略を策定する。
  5. ベラルーシは、再び暴君政治に陥ることのないような新憲法を採択する。民主的諸機関を構築し、権力の濫用を排除する。

 その上でチハノフスカヤは、「これらを達成するには、国際的な支援が必要である。民主的で独立したベラルーシのための国際的連帯を形成することを呼びかける」と結んでいる。

 興味深いのは、チハノフスカヤが、やはりロシア主導の経済同盟であるユーラシア経済連合から脱退するとは言っていないことである。また、EUと協力すると言いつつ、加盟目標は掲げておらず、連合協定についても言及がない。


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