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 先日お伝えしたとおり、ロシアから米国への鉄鋼輸出が、ウクライナ侵攻開始後も、まだかなりの規模残っている。その大きな要因として、ロシアの鉄鋼大手が米国に現地工場(半製品を原料に完成鋼材を生産する単圧子会社)を有しており、たとえ関税が上がったとしても、これはもう出来上がったビジネスモデルなので、ロシアからの半製品供給が途切れることはないという点があると思われる。

 鉄鋼部門をめぐる米ロ関係につき、8月10日付と少々古くなってしまったが、こちらの記事が動きを伝えていたので、要点を整理しておくことにしたい。

 記事によると、ロシア鉄鋼大手のエヴラズは、在米・カナダ工場の売却に乗り出した。エヴラズは北米最大の鉄道レールおよび大径鋼管の供給者となっている。軍事侵攻開始翌日の2月25日、A.イヴァノフ社長は、我が社の財務は健全だとして、北米からの撤退は検討しないと発言していた経緯があった。だが、3月10日に英国が筆頭株主で28.64%を保有するR.アブラモヴィチを制裁に加え、オーストラリアも19.32%を保有するA.アブラモフを制裁対象とし、5月初頭に英国はエヴラズ社自体に制裁を発動した(エヴラズはロシア最大のレール供給者で、鉄道は軍事目的に利用されるとして)。なお、エヴラズは2007年にOregon Steelを、翌年にカナダのIPSCOを買収、北米には2つの電炉工場、4つの圧延工場、8つの鋼管工場、17のスクラップ処理場を有している。2021年の北米の売上は24億ドルだった。

 エヴラズに先立ち、北米資産の売却に踏み切ったロシア鉄鋼大手が、セヴェルスターリだった。2014年のクリミア併合後、セヴェルスターリはすべての在米工場を売却した。また、鋼管冶金会社も2019年に在米アセットをイタリアのTenaris社に売却している。

 一方、別の大手ノヴォリペツク冶金工場は、今のところ在米アセットを維持している。同社は、NLMK Indiana、NLMK Pennsylvania、Sharon Coatingという工場を有しており、熱延、冷延、亜鉛メッキ鋼板を生産している。


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