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 私が研究していたテーマの一つに、ロシアの輸出促進策があり、その際に、ロシアがとりわけ重視していたのが「非原料・非エネルギー商品」の輸出であった。ロシアは伝統的に石油・ガスをはじめとするエネルギー・資源の輸出に偏重し、それらは価格変動に翻弄されたりいずれ枯渇したりするので、もっと付加価値や加工度の高い商品の輸出を伸ばしていこうというわけである。

 しかし、ウクライナ侵攻が始まって、そうした輸出振興策など吹き飛んでしまい、「非原料・非エネルギー輸出」という言葉自体、個人的にしばらく聞く機会もなかった。そうした中、こちらの記事がその話題を伝えているのが目に留まった。

 記事によると、23日にヴォルゴグラードで開催された経済フォーラムの席で、ロシア産業・商業省のV.オシマコフ次官が、この問題につき発言した。制裁の打撃を受け、非原料・非エネ輸出は、16~18%程度低下した(注:これはおそらく数量ベースだと思われる)。しかし、すでに底を打った状態であり、今後はそこから回復していくだろうと、次官は述べた。

 24日には連邦議会の下院が、非原料・非エネ輸出に対する国家支援を目的とした政府法案を審議する予定。特に、「非原料・非エネ輸出」という概念を法的に明確化することが提案されている。これにより、該当する様々な商品の品目分類に統一的なアプローチを採用することが可能になる。

 これに先立っては、10月末にM.ミシュスチン首相が、1~8月の実績として、非原料・非エネ輸出の数量は低下しているが、価格の上昇により、同期の非原料・非エネ輸出は前年同期比7%拡大し、1,250億ドルとなったと発言していた。


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