202211-18

 上図は、先日ブログでお目にかけたもので、ロシアの相手国別輸出額の動きを見たものだ。ロシアが貿易統計を発表しなくなったので、主要相手国側の対ロシア輸入データをもとに作成したものである。

 これを見ると、さすがは反ロシアの急先鋒だけあって、米英はロシアからの輸入を激減させている。ただ、米国にしても、まだ一定量の輸入は残っている。米国の対ロシア輸入、どんな品目が減り、どんな品目が残っているのか、ITCのデータベースでちょっと調べてみた。なお、ITCの無料版のデータベースでは、HSコード2桁レベルまでしか調べられず、4桁以上は有料で、国連の関係機関のくせに課金しようとする点が気に食わない。

 ともあれ、調べてみると、2022年の夏に至っても、いまだに米国がロシアから買い続けている品目の筆頭は、肥料(HS31)であり、これは侵攻前から輸入額が全然減っていない。残念ながらHSコード2桁までなので、肥料の種類は調べられない。2番目に多いのが、関連する品目の化学品(28)であり、おそらくアンモニアとかが多いのではないか。アンモニアと窒素肥料は、天然ガスから作られ、米国がロシアからの石油・ガス輸入を全廃しても、アンモニアや窒素肥料を買っていたら、これいかにという感じがしないでもない。(PS:その後確認したところ、28の大部分は、濃縮ウラン(284420)であることが判明したので、訂正させていただく)

 意外だったのは、まだ鉄鋼(72)の輸入がかなりの規模で残っていることである。また、アルミニウム(76)の輸入も依然大きい。アルミは、バイデン政権が対ロ輸入禁止を検討していると言われながら、影響の大きさから、いまだに踏み込めていない領域である。ニッケル(75)の輸入はむしろ増えている印象もある。

 貴金属・貴石(71)は、元々対ロ輸入額が大きかった分野だが、6月にバイデン政権が金(ゴールド)輸入の禁止を決めたことで、激減した。同じく、魚・海産物(03)も、3月に政府が輸入禁止を決めており、まだゼロではないが減少に向かっている。木材(44)は、禁止ではないはずだが、関税引き上げの効果か、大幅な減少を記録している。

 元々最大の輸入品目だった燃料・エネルギー(27)は、5月から完全にゼロになっている。米政府として大見得を切っただけに、これに関しては徹底している。


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