以前も言ったと思うが、ロシアは軍事侵攻開始後、貿易データを一切開示しなくなった。相手国、商品別といった中身だけでなく、輸出・輸入総額すらも出なくなった。そこで私は最近、ロシアの主要相手国の貿易データをひっくり返すことにより、ロシアの貿易動向を探るという作業を試みている。国によって出所が違うし、発表時期もまちまちで苦労するのだが、ともあれ9月までの(国によっては8月までの)データを更新しグラフを作成したので、お目にかける。

 なお、悔やまれるのは、ベラルーシ統計局が、7月分からロシアとの貿易額を発表しなくなってしまったことである。なので、下図ではベラルーシの数字は6月で止まっている。おそらくロシアから「指導」が入ったのだろう。

202211-18

 まず、ロシアから各国への月別輸出額が、上図のとおりである。突出しているのはインドであり、ロシアからの石油輸入の激増により、6月以降は毎月の対ロ輸入額が前年平均の6倍に達しているほどで、これを収めようとするとグラフが破綻してしまうので、省略している次第である。トルコも、ちゃっかりロシアからの輸入を増やしている。中国は、元々ロシアとの貿易額が大きかったので、伸び率という観点ではそれほど大きくないものの、やはりロシアの輸出の重要なはけ口となっていることがうかがえる。EUおよび日韓は必ずしも対ロ輸入を断ち切れていないが、顕著なのは米英の激減であり、さすがはプーチンが忌み嫌うアングロサクソン(?)と感心させられる。

202211-19

 次に、ロシアの国別輸入動向が上図である。今のロシア経済の一番の問題は、ある程度カネはあるのに、非友好国たる欧米日韓の制裁で、経済が機能するのに必要な商品やサービスを輸入できないことであり、それを友好国からの輸入や第三国からの迂回でどれだけ補えるかが焦点となる。ゆえに、ロシアの輸入においては、友好国・非友好国の色分けが、より鮮明になっている。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ