
日本の映画館では近年、上映される作品に占める邦画の比率が高まり、直近では邦画8:洋画2くらいになっているらしい。ロシアはそれとは逆で、外国作品、つまりハリウッド映画が8割を占める構造だった。
ところが、2月のロシアによるウクライナ軍事侵攻開始を受け、ハリウッドの大手映画配給会社が軒並みロシアへの作品提供を停止した。ロシアの映画館はコロナで経営が悪化し、今年あたりからようやく回復を見込んでいたのに、収入の8割を占めるハリウッド映画を失い、窮地に立たされている。一部の映画館は、ハリウッド作品の無許可上映を始めた。
こちらの記事によると、ロシアの映画館の売上は、コロナ禍の影響が残っていた2021年には400億ルーブルだった。2022年にはコロナ前の500億~550億ルーブルの水準に回復することを見込んでいたが、ハリウッド勢の撤退によりせいぜい200億ルーブルとなりそうで、(映画会社への支払後に)映画館に残るのは100億ルーブル程度となりそうである。映画館の赤字総額は111億ルーブル程度となろう。実際、4月の映画館の売上は前年同月比で半減しており、コロナ前の2019年の同月と比べれば70%減となっている。
こちらのまとめ記事によると、2022年1月から7月にかけて、ロシアの映画館の軒数は6.4%減少して2,022軒に、スクリーン数は12.4%縮小して4,996になった。7月4~10日の週にハリウッド作品を違法上映していた映画館は127存在した。業界団体のロシア映画館オーナー協会は、外国作品を配給会社の許可なしに上映しても処罰に問われないようにすることを政府に求めている。
こちらの記事によると、"Формула Кино" および "Синема Парк"という映画館系列では、8月からゲリラ的なハリウッド作品上映を予定していた。ロシアの作品を本編で流し、それと抱き合わせで、ハリウッド作品をいわば幕間の予告編のような位置付けで上映するというものだった。通常のチケットよりも10~20%ほど割増になるはずであった。経営側としては、それにより政府に問題を提起し、問題の打開策を共同で探りたいという意向であったが、結局経営側はこのゲリラ上映を断念した。
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