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 約1ヵ月前と少々古い情報になってしまったが、こちらの記事がロシアの石炭輸出動向について伝えており、興味深かった。以下、ざっくり要点だけ整理しておく。

 なお、上のグラフは記事に添えられていたもので、今年4月1日から5月13日までの各週のロシア石炭輸出価格を示している。1t当たりドルであり、黒がバルト海港湾、青が極東港湾、オレンジが黒海港湾FOBを示している。ついでに末尾に3月までの月別石炭輸出量のグラフも貼っておく。

 記事によると、ロシアによるウクライナ侵攻後、EUは8月10日からロシアの石炭輸入を停止することを決めた。すでに削減は進んでおり、ドイツは2022年5月の輸入量が前年同月比70%減、英国は50%減、ポーランドは小幅で6%減などとなっている。

 2月24日から5月初頭までのロシアの石炭輸出は1,570万tで、前年同期比5%減だった。ロシアにとって痛いことに、3月には中国、インド向けの石炭輸出も低下した。

 しかし、制裁発動から3ヵ月で、状況は一変した。ロシア産の石炭は、国際相場より大幅に値引きされて供給されるようになった。値引率は30%にも及ぶという。3割引きと聞くと、恐ろしく聞こえるが、現在の国際相場が高いため、現実には充分な価格となる。現在の価格水準では、ロシアの輸出業者は1t当たり120~180ドルを稼ぐことができ、これは2021年秋の一般炭と同水準で、昨年第1四半期と比べれば2倍の水準である。

 2021年にEUはロシアから5,000万tの石炭を輸入した。代替の供給国であるオーストラリア、南アフリカ、ベトナム、インドネシアには、それぞれ輸出を増やせない事情がある。EUがロシアからの輸入打ち切り分を補うために、世界市場で5,000万tの石炭を調達することは不可能ではないが、コストがかかり、効率も悪いのである。

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