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 ウクライナのザポリージャにモトル・シチというエンジンメーカーがある。一時、中国資本が買収しかけて、国際的に物議を醸したところだ。同社をめぐる最新状況をこちらの記事が伝えている。以下、要点を整理しておく。

 かつては、ロシアで生産される軍用・民間用ヘリコプターには、すべてモトル・シチ製のエンジンが搭載されていた。しかし、2014年後、ロシアは輸入代替を進め、今やサンクトペテルブルグの「合同エンジン生産コーポレーション・クリモフ工場」がロシアのヘリコプター生産の需要を満たしている。

 他方、2016年、モトル・シチの株式の56%が中国のSkyrizon社によって買収された。しかしながら後日それらの株式は差し押さえられ、中国の投資家は株主総会にも呼ばれず、経営に参加できなかった。中国側は2020年12月にウクライナを相手取って35億ドルの損賠賠償を求める訴訟を起こした。2021年1月28日にゼレンスキー大統領はSkyrizon社とそのオーナーに対する制裁を導入するとの安保会議の方針を実施に移し、中国外務省が投資家保護を求める事態となった。

 5月2日、ロシア国防省は、ザポリージャのモトル・シチ工場へのミサイル攻撃を行ったことを明らかにした。ただ、上述のとおりロシアはヘリコプター・エンジンを国産化しているので、これによってロシアへのエンジン供給やサービスに影響が及ぶことはない。ロシア側によると、ロシア軍が工場を攻撃したのは、ウクライナ軍用の無人偵察機のエンジンがこの工場で生産されているからだとされている。


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