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 今般の戦争に関し、自分の研究分野との関連で、気になっていることがある。ウクライナでは従来、国内で稼働している製油所が1箇所しかなかった。それはポルタヴァ州のクレメンチュークにある製油所であり、主にアゼルバイジャンから黒海経由タンカーで石油を輸入し、それをオデーサ港で揚げ、そこからパイプラインで製油所まで石油を運んでいたと理解している。

 しかし、現在はオデーサ港が封鎖されているので、当然石油の輸入もできない。しかも、以前お伝えしたとおり、ロシア軍がクレメンチュークの製油所を爆撃して破壊したので、もう国内では一切、石油製品は生産されていないはずである。

 ちなみに、駄目のダメを押すということだろうか、こちらなどが伝えているとおり、ロシア軍は昨日、クレメンチュークの製油所に新たに6~8発のミサイル攻撃を行ったということである。

 問題は、従来ウクライナが、国内生産では賄い切れない石油製品の需要を、ロシアとベラルーシから輸入していたことである。当然、今日の状況では、両国からの輸入は途絶えているだろう。国内生産も、敵国からの輸入も止まり、燃料不足がウクライナの戦争継続能力を削ぐことになりはしないかと、気になっていたわけである。

 当然のことながら、燃料が枯渇すれば、ウクライナの中核産業である農作業にも支障が生じる。

 結論から言えば、目下ウクライナは燃料の需要を、特にポーランドからの輸入で賄っている部分が大きそうである。

 こちらの記事によれば、ポーランドは開戦当初、無償援助として2.5万tの燃料をウクライナに提供したが、その後は商業的な販売に移行している。ポーランドの石油精製大手Orlenが供給を手掛けている。現在、ポーランド・ウクライナ国境で燃料の通過能力を増強する作業が行われている。

 こちらの記事によると、ウクライナの燃料の輸入手段としては、自動車、河川、鉄道がある。3月と5月を比べると、それらの輸送量は、自動車が15倍、河川と鉄道が5倍になった。


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