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 当然のことながら、ロシアの軍事侵略により、ウクライナの経済は壊滅状態に陥っている。経済省のサイトに掲載された3月の貿易概況からも、そのことは明白である。

 これによると、3月のウクライナの商品輸出は、量にして597万t、額にして27億ドルだった。2月には1,310万t、53億ドルだったから、ほぼ半減したことになる。現時点では鉄鉱石、トウモロコシ、フェロアロイ、植物油などが主な輸出品目である。

 金属の輸出が激減している。特に鋼板の輸出は2月の43.7万tが3月には4.7万tに低下した。いくつかの鉄鋼品目では輸出がまったく行われなかった。これは、生産施設が物理的に破壊されたり生産が停止したりしたことによる結果である。

 3月には110万tのトウモロコシ、30.9万tの小麦、11.8万tのひまわり油、4.0万tの大豆が輸出されたが、これらは前月の4分の1の水準にすぎない。

 ロシアによる侵略後、激減したのが輸入である。2月の輸入が500万t、59億ドルだったものが、3月は160万t、18億ドルとなった。現時点で主な輸入品目は天然ガス、石油、石油製品、石炭である。

 一方、高付加価値製品の輸出は、多くの品目で前月並みか、むしろ増えたものもある。ケーブル製品は2月の1.3億ドルが3月には1.1億ドルに、ウッドパネルは2,600万ドルが3,200万ドルに増えた。

 Yu.シヴィリデンコ第一副首相・経済相は以下のようにコメントしている。いわく、敵はウクライナの輸出を封鎖することによって、意図的に経済を蝕もうとしている。我が国の輸出の伝統的なルートは黒海港湾からの発送だが、それが現在ロシアによって封鎖されている。しかもロシアは冶金工場、農業インフラを攻撃することによって、我が国の経済力が将来にわたって立ち直るのを阻もうとしている。このことは、ウクライナにとってだけでなく、全世界にとっての脅威である。ウクライナは、アフリカや中近東の多くの国の食料安保を支えてきたからだ。政府はこれらの課題に機敏に対応している。生産者、トレーダー、輸送業者の参画を得て、対欧州国境の鉄道、自動車、河川交通の通過能力を拡大している。まだウクライナに残っている基礎農産物の在庫は、輸出を行うのに十分である。播種作業も始まっていることから、慎重ながら、今後の収穫に期待できる。


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