ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、関係あるようなないような、超マニアックなサッカーの話で恐縮。
ウクライナ独立後、同国のサッカープレミアリーグでは、ほぼすべてのシーズンで、ディナモ・キエフかシャフタール・ドネツクが優勝している。1位になれなかった方のチームがだいたい2位である。完全な二強体制というわけである。
だが、一度だけ、独立後初の1992シーズンに、二強以外のチームが優勝したことがある。それが、クリミアの中心都市を本拠とするタヴリヤ・シンフェロポリだったのである。もっとも、1992シーズンは、A・B2つのグループに分かれて総当たりを行い、両グループの1位同士が一発勝負で優勝決定戦を戦う方式だったので、番狂わせが起こりやすかったのかもしれない。
時代は下り、ウクライナ危機と同時進行した2013/14シーズンのウクライナ・プレミアリーグにも、タヴリヤ・シンフェロポリは参戦していた。しかし、ロシアによるクリミア併合という事態を受け、タヴリヤは法律的にはいったん解散し、クラブ名をTSKタヴリヤに変更した上でロシアのクラブとして登記し直し、2014/15シーズンからはロシアの国内リーグに参戦した(トップリーグではなく、上から3番目のカテゴリーだったが)。ただ、クリミアをロシア国内リーグに組み込むと、UEFAやFIFAから制裁を受ける可能性があったので、ロシア・サッカー協会は方針転換してクリミアは別扱いとし、クリミア独自のサッカーリーグを組織、タヴリヤもそこを戦いの場とすることになったわけである。
さて、以上の話は個人的に把握していたのだが、今般意外な新事実を知った。ウクライナ側としても、名門タヴリヤを失うのは忍び難かったらしく、2015年9月にウクライナ南部のヘルソン市を拠点にタヴリヤを再興する動きが始まった。ただし、スタジアム建設用地の調整が上手く行かず、代わりにヘルソン州のマリャニフカ村というところを一時的な本拠地として定め(あくまでもクリミアを奪還するまでの一時的な本拠)、まずはアマチュアリーグから、2017年夏からはプロチームとして再スタートを図った。このFCタヴリヤ、現在はウクライナ2部リーグ(上から3番目のカテゴリー)のBブロックに所属している。現在の順位表は以下のとおりである。
もちろん、ロシア側のTSKタヴリヤは、シンフェロポリを拠点に存続しており、クリミアリーグへの参戦を続けている。現在の順位表が以下のとおりである。
というわけで、名門タヴリヤ・シンフェロポリ、ウクライナとロシアに分裂した格好になっていることを、今般初めて知った。冒頭に掲げたエンブレム、上がウクライナ側、下がロシア側である。なんなら、サッカーの試合でどちらが本家のタヴリヤか決着をつけたらどうか(すぐそういう麻雀劇画のようなことを言う)。
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