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 しつこく天然ガスの話で恐縮。プーチン・ロシア大統領が北京五輪開会式出席のために北京に出向きに、それに合わせて、ロシア・ガスプロム社が年間100億㎥の天然ガスを中国に追加供給することになった。

 おりしも、ウクライナをめぐって欧米との対立を深めている最中の合意だけに、「すわ、ヨーロッパ向けの供給から中国市場にシフトするのか!?」といった受け止め方もあったが、追加供給100億㎥は現在ヨーロッパに供給されている分を回すのではなく、サハリン産のガスを想定しているということは、すでに述べたとおりである。

 話はそれだけではない。今回合意した100億㎥の資源基盤については、こちらの記事が詳しい。これによると、資源基盤として具体的に想定されているのは、ガスプロムが保有するサハリン3のキリンスキー鉱区のうち、ユジノ・キリンスコエ鉱床ということである。同鉱床の埋蔵量は7,000億~8,000億㎥、ガスコンデンセートは1.1億~1.3億tと評価され、設計通り稼働すれば年間210億㎥のガスが産出されると見込まれている。ただ、同鉱床は2015年に米国による制裁の対象となっており、その影響もあって開発が難航している。今のところ生産開始は2023~2024年頃の見通しだが、それが遅れたり頓挫したりするようだと、中国向け供給増も絵に描いた餅に終わってしまうわけだ。


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