000

 ベラルーシでは、来年2月末に憲法改革を問う国民投票が実施されることになっている。ところが、肝心の改憲の中身が発表されず、新憲法を制定するのか、既存の憲法を修正するのかすらも明らかでなかった。

 おや、まさか、中身を発表しないまま国民投票にかけるのか?などと疑い始めたところ、こちらの記事が伝えるとおり、昨日になり、ようやく改憲案が発表された。さすがのルカシェンコ体制も、最低限のアリバイだけは取り繕おうとしているといったところか。

 結論から言えば、まったくの新憲法を制定するのではなく、既存憲法に修正と追加を加えるという形になっている。そのテキストがこちらであり、緑の部分が修正・追加されるところである。

 まだ熟読できていないが、最大の注目は、「全ベラルーシ人民大会」を制度化する点だろう。

 「全ベラルーシ人民大会」と聞くと、何となく名前から中国の全国人民代表大会(全人代)のようなものかと想像したくなる。しかし、中国の全人代は一応は常設の国会であり、ベラルーシには別途国会があるので、位置付けが異なる。

 これまでの全ベラルーシ人民大会は、むしろ中国やかつてのソ連の、5年に一度の共産党大会に近いものだった。ルカシェンコの5年間の任期に合わせて、大統領選挙の前後の時期に開催され、これまでの5年間の成果をうたいあげるとともに、今後5年間の方向性や課題を示すセレモニーとなっていた。ルカシェンコ政権下で、1996年10月に第1回が開催され、2021年2月の最新の大会まで、全6回を数えた。

 ちなみに、かつてのソ連では、1990年3月まで、共産党の指導的役割が憲法に明記されていた。その意味では、共産党大会で国家方針を決めることは、一応は法的に辻褄の合う話ではあった。それに対し、従来、全ベラルーシ人民大会は、憲法や法律に何の規定もなく、ルカシェンコが大統領令という号令一つで招集していた。

 それが、今回の改憲で、全ベラルーシ人民大会は法的にも然るべき位置付けをなされようとしているわけである。ルカシェンコとしては、権力の軸足を大統領職から同大会にシフトすることによって、最高権力者として生き残ろうとしているというシナリオが浮かび上がる。

 とはいえ、いかんせん改憲案を熟読できていないので、詳しくはまた後日。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ