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 今般マスコミから、ロシア・ウクライナの軍事対立が穀物市場にどのような影響を及ぼすかという問い合わせを受けた。正直言って、あまり鋭い問題意識とは思えなかったが、一応それに対応するために少しデータなどを整理してみた。

 上図は、ウクライナの穀物輸出が、どの港から行われているかをまとめたものである。チョルノモルスク、ピヴデンヌィ、オデッサといういわゆる大オデッサ3大港と、ミコラーイフが大部分を占めており、これらはウクライナ南西部に位置するので、仮にロシア・ウクライナ国境で限定的な軍事衝突があっても、穀物輸出へのロジスティクス上の影響はなさそうである。ベルジャンスク、マリウポリはアゾフ海の港で、もし仮に戦乱などということになったら、ロシアが押さえているケルチ海峡を通過するのに支障が生じないとも限らないが、それはあくまでも紛争が深刻化した場合の事態だし、他の港にシフトすることも可能かと思われる。

 もちろん、大規模な戦闘で住民が逃げ出すとか、カントリーエレベーター(穀物貯蔵施設)や鉄道が破壊されるとか、そんな事態にまで至れば、話は別である。

 なお、ウクライナの港湾配置図は、下図のとおり。

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