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 ちょっと用事があってこんなグラフを作成したので、お目にかける。ロシア・ガスプロム社による天然ガス輸出価格を、CIS域外向け、ウクライナ向け、そしてベラルーシ向けに分けて見たものである。

 なお、従来ガスプロムによるパイプラインガスのCIS域外向けは、欧州(トルコも含む)向けと同義だった。しかし、2019年暮れに中国向けパイプライン「シベリアの力」が開通したことにより、ガスプロムは欧州とアジアの両方にパイプラインガスを供給する世界で唯一の企業となった。したがって、私が理解する限り、上図における2020年のCIS域外輸出価格143ドルは、欧州向けと中国向けの合計であるはずである。

 11月4日にプーチン・ロシア大統領は、ベラルーシ側との会合の席で、現在のベラルーシ向けガス価格は、欧州のスポット価格の7分の1から10分の1の水準であり、また欧州向け長期契約価格と比べても3分の1から4分の1の水準であるとして、ベラルーシ側の恩恵を強調した。確かに、目下激しく高騰している欧州と比べれば、そうなのであろう。

 通関統計にもとづく上図によれば、2020年のベラルーシ向けの価格は131ドルということになっているが、契約上は128.5ドルである。そして、ロシアは2022年についても同じ128.5ドルを適用することを申し出ており、確かに現状の欧州の価格水準を考えれば相当に低い水準である。ただ、ベラルーシ側は完全にロシア国内と同じ価格(具体的には隣接したスモレンスク州と同等の価格)を長年求めており、スモレンスク価格はベラルーシ向けの半分ほどとされ、ベラルーシ側の切なる要求は依然として聞き入れられていない形である。


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