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 最近、日本の普通の商店などでもウクライナのチョコレートやビスケットの類が買えるようになり、「ウクライナの食品産業は好調なのだな」というイメージを抱いてしまう。しかし、現実は必ずしもそうではない。たとえば、チョコレート(HSコード1806)の輸出動向を見ると、ピークは2011~2012年頃であり、直近の水準はその3分の1以下にすぎない。

 その原因はひとえに、かつてウクライナのチョコレート輸出の6割前後を吸収していたロシア市場と、断絶したことである。2014年のユーロマイダン革命以前も、ロシアがウクライナ産チョコレートの輸入を制限する「チョコレート戦争」があったが、それでもロシアが圧倒的な最大市場であったことに変わりはなかった。それが、現在はウクライナからロシアへのチョコレート輸出はロシア側の措置で禁止された状態にある。

 確かに、EU向け(主に中東欧諸国)、米国向け、中国・日本をはじめとするアジア向けの輸出も、伸びてはいる。しかし、失われたロシア市場を埋め合わせるには、規模的に程遠い。ウクライナにとっては、商品により、ロシアの代替市場を見付けやすいもの、見付けにくいものがあるだろうが、チョコレートは後者に属すと言えそうである。


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