f0b806e0a7a31c68f63fd4369a16f55f

 ロシアが主導し現在5ヵ国から成るユーラシア経済連合では、こちらのサイトに見るように、2020年12月11日の首脳会合で、「2025年までのユーラシア経済統合発展の戦略的方向性」と題する文書が採択された。

 まあ、そのことは大いに結構なのだが、腑に落ちないのは、まず第1に、文書が採択されたのが2020年12月11日なのに、そのテキストが発表されたのが2021年1月14日までずれ込んだという点である。私は、物好きにもこの経済同盟を研究しているので注視していたのだが、「戦略的方向性を採択した」と発表しながら、肝心のそのテキストがどこにも存在しないという点に、首をかしげざるをえなかった。

 それで、1ヵ月あまり経って、ようやくユーラシア経済委員会のサイトにそれが掲載されたものの、今度はそのPDFファイルに問題があった。ロシアの政府機関ではお馴染みの現象だが、WordからダイレクトにPDFに転換するのではなく、わざわざ紙の文書を画像スキャンしたものを掲載しているのである。「なるほど、こんなことを手作業でやっているから、掲載するのに1ヵ月もかかるのか。納得」などと、皮肉の一つも言ってやりたくなる。結果、PDFは19MBもあり、ダウンロードするのに難儀する。それのみならず、文字検索ができないという致命的な問題が起きる。たとえば、私はユーラシア共同ガス、石油市場のことについて調べたいのだが、газ、нефтьといったキーワードで検索ができないので、挙動の重いPDFを隅から隅まで眺めないといけない。

 皮肉なのは、今回の「戦略的方向性」の中では、「ユーラシア共同デジタル空間」の形成をうたうなど、デジタルが前面に出されていることである。コピー機だかスキャン機だかの性能が悪いのか、ブサイクに傾いた不鮮明な画像でデジタル推進などと言われても、説得力はまるでない。

 ユーラシア経済委員会のウェブサイトは、最近リニューアルされ、表面的な見栄えはとても良くなった。ロシア人お得意の、カーソルをかざすと画像が反応したり、画像が自動的に流れたりといった凝った作りになっている。しかし、ロシアのこういう見栄えだけに凝ったウェブサイトというのは、サイト全体の構造を把握しにくかったりして、閲覧者にとってはものすごく使いづらい。それに対し、EUの欧州委員会のサイトを見ると、奇をてらった要素などは皆無であり、全体がスマートに整理され、ユーザーが目的の情報に辿り着くことを最優先して作られている。今回のお粗末PDFに象徴されるように、ユーラシア経済委員会のサイトはまさに仏作って魂入れずであると言わざるをえない。

 技術的な指摘ばかりになってしまったが、「2025年までのユーラシア経済統合発展の戦略的方向性」の中身は、現在精査中。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ