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 まず、変なことを言わせていただくが、私はモルドバという国に一度しか行ったことがなく、ただその時に受けた印象では、モルドバは他の旧ソ連諸国とは色合いというか色彩感覚が違うなと感じた。何と言うか、ロシアなどではまずないような、淡い色調のパステルカラーが目立つ国だなという印象が強かった。もしかしたら、これは私だけの気のせいかなと思いきや、モルドバに何度も行ったことのある日本人も同意見だったので、あながち間違いでもないようだ。

 11月1日に第1回投票が、15日に決選投票が行われたモルドバ大統領選の結果、野党で親欧米派のM.サンドゥが、現職で親ロシア派のI.ドドンに勝利を収めた。100%開票時点とされている結果によると、57.75%対42.25%だったとのことであり、終わってみれば結構差がついたなという印象である。

 サンドゥ当選確実を伝えるネット記事には、上掲のような画像が添えられていた。往生際の悪い高齢元首ばかりのCIS圏にあって、比較的若い女性政治家がこのように軽やかに政権を奪うのは斬新で、上掲画像は「パステル色のモルドバ」という私のイメージにも合致し、鮮烈な印象を受けた。

 すでにドドンも敗北を認めてサンドゥを祝福しているし、ロシアのプーチン大統領も祝電を入れている。CIS政治に慣れ切った身からすると、「おいおいドドンさん、下野したら在任中の悪行が暴かれたり、隠し財産がバレたりして、やばいんじゃないのか。どんな手を使っても政権にしがみつくのが普通だろ。プーチンも動かずかよ」などと、倒錯した目で見てしまいがちだ。そもそも、57.75%対42.25%という数字自体、政権側が不正をやって、それでもこの程度ということなのかもしれない。いずれにしても、モルドバはこれまでも選挙によって何度も大統領も議会勢力も変わってきたわけで、そういう国とロシアやベラルーシはやはり全然違うということなのだろう。

 以前書いた「モルドバ・バトルロイヤル 欧州最貧国で何が起きているのか?」で論じたとおり、モルドバ政治はその時々に突出した存在を潰すために同盟関係が築かれるけれど、それを果たすと、その同盟関係は崩れ、また別の均衡を模索し始めるという特徴がある。今回はドドンを潰すという同盟が成立したわけだが、これが永続的とも思えず、ゆえに親欧米路線が最終的に勝利したとも言えないのではないかと、現時点では感じている。このあたり、情報を収集し、いずれまた論じてみたいと思う。

2020-11-16 10_19_16-Rezultate

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