ちょっと取り上げるのが遅くなったが、私の愛読誌であるロシア『エクスペルト』誌の2020年9月28日~10月4日号(No.40)に、ロシアの輸出に関する特集記事が掲載された。その中のA.ホフロフという人の論考が参考になったので、要点をまとめておく。

 当ブログでも何度か触れているが、プーチン政権は原料・エネルギーに偏重した輸出構造を問題視し、2024年までに非原料・非エネルギー商品の輸出を2,500億ドルにまで伸ばすという目標を掲げていた。ただし、コロナの影響もあり、今年の夏にその目標を実質的に先送り・下方修正したという経緯がある。

 そうした中、世界的なパンデミックで原料・エネルギーへの需要が低下し、価格が下落したことで、ロシアの輸出に異変が生じている。今年に入って、原料・エネルギーの輸出は縮小しており、通年では1,700億ドル程度に終わると見られる。それに対し、非原料・非エネルギー輸出は1~7月には前年同期比0.4%減の820億ドルと比較的踏み止まっており、通年では1,480億~1,500億ドルになると見られる。過去最高だった前年の1,550億ドルと比べれば3~4%の減少だが、価格変動を除いた実質ベースではむしろ拡大している。2020年通年で、ロシアの輸出に占める非原料・非エネルギーの割合は45~47%に上ると見られ、これは過去最高となりそうである。

 ロシアの輸出における原料・エネルギー(オレンジ色)と非原料・非エネルギー(青)の比率は、下図のとおりとなっている。原料・エネルギーが価格変動に翻弄されて乱高下するのに対し、非原料・非エネルギーは安定しており、ロシアが非原料・非エネルギーの方を伸ばしたいのも、良く分かる。

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 ロシアのエネルギー輸出額(縦棒)と、輸出総額に占める比率(折れ線)を見たのが、下図である。エネルギー比率は、2020年には2000年以来の低さとなりそうだ。

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