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 ロシア国民のプーチンに対する支持率の動向を見るために、個人的によく使うのが、レヴァダ・センターの調査データである。「貴方はプーチンの仕事振りをどう評価しているか」という設問への回答状況であり、いわゆる支持率というのとはちょっと違うとは思うが、レヴァダ・センターという信頼性の高い機関の数字であり、長期継続的な数字が月ベースで得られるので、重宝している。ここでは単純に「支持率」と呼ぶことにする。

 それで、最新の8月の調査結果までが出ているのだが、上のグラフに見るとおり、8月の支持率が随分と回復していたことが判明した。コロナ危機やプーチンの任期初期化で、だいぶ民心が離れていた様子だったが、4月59%、5月59%、6月60%、7月60%と推移したあと、8月には66%まで回復したのである。誤差というには、大きい変化だ。

 8月の出来事で、思い当たる点としては、ベラルーシ情勢が挙げられるだろう。個人的には、ハバロフスクの反政府デモから、ベラルーシの反ルカシェンコ運動へと続き、ロシア国民のプーチン体制への造反的なムードがより一層強まることがあるのかなと、注目していた。

 しかし、もしかしたら、ベラルーシ情勢はロシア社会に、別の作用を及ぼす可能性もあるのかもしれない。ロシア国民の多数派は、2014年にウクライナで親欧米的な方向性の政変が起きたことことに危機感を抱き、プーチンがクリミア併合という形でリベンジすると、それに拍手喝采を送った。愛国主義を背景に、プーチン支持率はかつてなく高まった。それと同じように、ロシア国民が今般のベラルーシ国民の反ルカシェンコ運動を、親欧米/反ロシア的なものだというステレオタイプで見ているとしたら(実際には反ロシア的なものではないわけだが)、またぞろロシアの愛国主義が高まり、結果的にプーチン支持率が上がるという、そんな作用もあるのかもしれない。


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