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 ベラルーシが、EUとの政治関係は疎遠ながら、同国の重要輸出品である石油製品、肥料を輸出する上で、実はEU圏のバルト三国の港を活用しているということについては、当ブログのこちらこちらのエントリーで触れたことがあった。また、今年出た『リトアニアを知るための60章』に私が寄稿したベラルーシ・リトアニア関係の章の中でも、ベラルーシがリトアニアのクライペーダ港を活用している点に言及していた。

 それで、今般のベラルーシ情勢から派生して、案の定と言うべき事態となった。EUが対ベラルーシ制裁を準備していることに対抗し、ルカシェンコが「リトアニアの港を使わないぞ」と脅し始めたのである。こちらこちらの記事が伝えている。

 記事によると、ルカシェンコは8月28日の企業訪問の折に、次のように発言した。私は貿易の流れをリトアニアの港から他の港にシフトすることを立案するよう、政府に指示をした。そうなったら、連中の生活がどうなるか、見ものだ。リトアニアの予算の30%は、リトアニアを経由する我が国の貨物の収入から成っている。制裁というのがどんなものか、彼らに見せてやろう。ポーランドやリトアニアが、中国やロシアとやり取りをするのに、これまでは我が国を経由していたが、今後は飛行機で飛ぶか、バルト海、黒海経由でやる必要がある。ベラルーシはこれまでも制裁に直面してきたが、それでも生き残り、今も生きている。ルカシェンコはこのように発言した。

 なお、ルカシェンコが言っている、リトアニアの予算の30%は、リトアニアを経由する我が国の貨物の収入から成っているというのは、いくら何でも事実に反すると思われ、クライペーダ港(そしておそらくリトアニア鉄道も)の貨物の30%がベラルーシの貨物という話にすぎないはずである。

 上掲記事によれば、ルカシェンコ発言につきリトアニアのスクヴェルネリス首相は、リトアニアの港を使うのをやめれば、まず何よりベラルーシ自身にとっての打撃となるだろうとコメントした。また、リトアニアの運輸・通信相も、ベラルーシには輸出貨物のルートを変更できる可能性はない、ラトビア経由もサンクトペテルブルグ経由も不可能だと指摘した。


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