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 ベラルーシでルカシェンコの権力居座りに反対する動きが労働者層にも広がり、各企業でスト発生の動きが伝えられていることは、周知のとおりである。情報を整理するために、こんなグラフを作ってみた。ベラルーシで雇用者数が大きい30企業を取り上げ(グラフ中の数字が雇用者数を示す)、抗議行動やストライキの発生が確認できたところを赤、そうでないところを青く示したものである。

 なお、抗議行動やスト発生と言っても、労働者全員が職場放棄しているようなところもあるだろうし、逆に小規模な抗議行動が起きても経営側や当局の封じ込めにあっているところなど、状況や程度は様々だと思うが、その確認は難しいので、とりあえず何らかの情報が出たところはすべて赤にした。

 ちなみに、雇用者数の数字は、財務省が発表している株式会社の財務情報からとっているのだが、このデータが得られるのは2015年が最後である。私は、2016年以降、ベラルーシ企業の財務が軒並み悪化し、あまりの惨状に財務省が数字を発表できなくなったと解釈しているのだが、どうだろうか。

 それにしても、ほぼ真っ赤なグラフが出来上がった。今回の労働者の反乱では、これまでベラルーシ経済の代名詞となり、どちらかと言えばルカシェンコ経済体制の恩恵を受けていたような名門企業ほど、職員たちが決然と立ち上がっている点が特徴だと思う。最大の雇用を誇るMAZなど、ルカシェンコの保護がなければ、とっくの昔に廃墟になるか、大リストラが生じていたかもしれないのだが……。それだけ、今のベラルーシでは、個別の利害を超越して、ルカシェンコの暴政はもう許せないという空気が広がったということだろう。散々企業を守ってきたつもりのルカシェンコとしては「裏切られた」という思いであろう。


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