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 先日触れたように、ロシアのミシュスチン首相は7月22日、連邦議会の下院において、毎年恒例の政府活動報告を行った。こちらにその模様が出ている。私はロシアの通商政策のことを研究しているので、以下ではそれに関係した部分の要旨をまとめておく。

  • ロシアの武器輸出は、2019年に150億ドル強に上り、2020年初め時点の受注残高は550億ドルを超える。この分野では、世界の100ヵ国以上と協力している。
  • 「全国民計画」の枠内で、多様な部門への支援策が想定されている。ここでの優先課題は輸入代替である。現在までに420の輸入代替プロジェクトが量産段階に至り、950のプロジェクトが生産への準備を完了しつつある。部門別の輸入代替プランの見直しを終え、それを10月に検討する予定である。
  • 我々は輸出の増大を目標に掲げている。輸出業者のための「ワンストップ窓口」の制度を立ち上げる政府指令に署名した。書類の作成、補助金の申請を迅速にし、自社の商品を国際市場や見本市に出すことを可能にする。
  • 農業の発展により、食料安全保障が確保され、輸出も拡大できる。輸出全体に占める農産物・食品の比率は、2019年には6%に達した。上述のような輸出支援策が、農業部門でも活用されることを期待する。
  • 大統領も再三述べているが、ロシアでは今日、穀物の輸出が武器輸出を上回っている。食料安全保障ドクトリンの主要部分は、すでに達成している。すなわち、穀物の自給率は155%、砂糖は125%、食肉は97%となっている。
  • パンデミックの局面にあっては、ユーラシア経済連合の市場を守るために、いくつかの決定を行った。ユーラシアのパートナー諸国はある種の食料品を必要としたので、ユーラシア域内供給は例外とした上で、食料の輸出を制限する措置をとった。ただし、現在それらの措置は、撤廃されつつある。
  • 25年ほど前に、ロシアは集積回路を生産する能力を失った。現時点ではマイクロエレクトロニクスの世界全体の輸出に占めるロシアのシェアは1%で、自給率も41%にすぎない。2030年までにエレクトロニクス製品の輸出を2.7倍に拡大する目標を掲げている。

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