azot

 ベラルーシ北西部のグロドノに、同国にとって唯一の窒素肥料メーカーであるグロドノ・アゾト社がある(ポリアミドも生産)。国営企業であり、国家コンツェルン「ベルネフチェヒム」が経営に当たっている。そのグロドノ・アゾトで現在、新たな窒素肥料プラントを建設するとともに、既存の設備を改修する工事が実施されている。そのゼネコンを決める入札が実施され、中国および韓国勢も名乗りをあげたものの、結局イタリア企業が受注した。

 本件に関しては、こちらの記事が詳しいので、要旨を整理しておく。

 新たな窒素肥料プラントの総額は16億ドルで、それをイタリアのTecnimont S.p.A.が受注した。中国のChina National Complete Plant Import and Export Corp. Ltd.、CITIC Construction Co., Ltd.、China Machinery Industry Construction Group Inc.も応札し、また韓国のSamsung Engineering Co.も後から加わったが、イタリア社に及ばなかった。

 イタリアのTecnimont S.p.A.は事業経験が豊富で、ロシアでも同様のプロジェクトを請け負ったことがある。同社の提案書では、欧州諸銀行からの融資調達も可能とされている。また、投資総額を変更することなく、先端的な省エネ技術の採用により、アンモニアおよび尿素の生産量を5%増やすことが可能としている。提案書の中で、エネルギー消費量は、イタリア社のそれが最小だった。

 所要費用16億ドルのうち、2.5億ドルがグロドノ・アゾトの自己資金から支出され、残りは融資で賄う。中国によるクレジットライン、ベラルーシとロシアの銀行団による融資などが案として浮上している。

 新しいプラントでは、天然ガスの消費が15%、エネルギー全体の消費が20%低下し、年間数千万ドルを節約できる。新プロジェクトにより、グロドノ・アゾトの尿素生産量は倍増し、輸出を大幅に拡大できる。投資回収期間は10年、新プラントの稼働は2024年を予定している。

 一方、こちらの記事によると、ルカシェンコ大統領は先日グロドノ・アゾトを訪問し、新プラントは最初はヴィテプスク州での建設を検討していたけれど、最終的に、条件が整い専門家も揃っている当地の方が賢明であるとの決定に至ったと発言した。

 記事によれば、新プラントの建設と並行して、既存のアンモニア・尿素生産プラントの改修工事が実施されており、2020~2024年に2.5億ドルを投資する予定である。


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