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 昨日、化学肥料の価格が低迷しており、ロシアやベラルーシが苦しんでいるということをお伝えした。実は、カリ肥料の分野では、他ならぬロシアとベラルーシの業界の振る舞いが、価格下落を誘発してしまった面があったのである。少々古いが、ロシア『エクスペルト』誌2019年9月30日~10月6日号が良くまとまった記事を掲載しているので(S.クジヤロフ氏署名)、以下要旨を整理しておく。

 ロシアのカリ肥料の大手「ウラルカリ」と、ベラルーシの独占企業「ベラルーシカリ」は、2005年にBKKという共同販売会社を設立し、その世界シェアは当初30%、後の買収でさらに43%に達した。かくして、両国の価格カルテルが形成された。

 しかし、2011年にウラルカリがロシアの別の大手シリヴィニトと合併したことで、両国の力関係が変わる。条件に不満を感じたベラルーシのルカシェンコ大統領は2012年12月、ベラルーシのカリ肥料を輸出する上でBKK以外の業者にも権限を与える大統領令に署名した。かくして、BKKの枠組みを通じた独占輸出と価格カルテルは、崩壊したのである。2013年8月には、ミャスニコヴィチ首相の招聘に応じてベラルーシを訪問したウラルカリの社長が逮捕されるというスキャンダルも発生した。

 この顛末の後は、ベラルーシ側は輸出量を重視する方針に転換した。過去5年間で、ベラルーシカリの生産能力は年間1,000万tから1,300万tへと急増している。輸出量は、2012年は610万tだったが、現在は1,000万tである。しかし、価格の下落により、輸出額はカルテル解消前と同じレベルとなっている。ベラルーシは2013~2018年にカリ肥料輸出で143億ドルを稼いだが、もしもカルテルが健在なら、610万tのままでも、150億ドルを稼げただろう。

 ベラルーシ側はさらに生産能力を拡大しようとしている。ベラルーシカリはゴメリ州で年産150万tの鉱山を建設中だし、M.グツェリエフのスラヴカリは2022年に年産200万tの鉱山を稼働させる予定である。

 ロシア側も、エヴロヒムが2018年にウソリエ鉱山を稼働させ、2024年までには(ヴォルガカリも含め)年産800万tを達成する計画である。ウラルカリも、2024年までには1,400万tを、2025年以降には1,700万tを達成したいとしている。

 専門家によれば、全世界のカリ肥料メーカーの生産能力は2031年までに1億900万tに達し、その際に需要は9,600万tに留まる。世銀もカリ肥料の価格は継続的に低下すると予測している。

 すべてのカリ肥料メーカーが価格低迷で苦しんでいるが、ウラルカリは軽微である。BKKとの破談の時点で同社の生産コストは1t当たり60ドルで、ベラルーシカリの半分、米国のライバルの3分の1ないしは4分の1にすぎなかった。2018年の年次報告によれば、さらに下がって42.5ドルである。現在ウラルカリが債務返済のため価格安定を望んでいることは確かだが、おそらくは、いつまでもこんな状態では市場がもつはずはないと考えているのだろう。


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