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 こちらのサイトに見るように、ロシア中央銀行は3月30日、国内市場での金(ゴールド)の買い入れを4月1日から停止すると発表した。今後の購入政策については、金融市場の動向を見ながら決めていくという。

 この中銀の決定に関し、こちらの記事が背景を解説しているので、以下のとおり要旨を整理しておく。

 ロシア中銀は2014年から積極的に金を購入していたが、2018年の880万トロイオンスという記録的な購入に比べ、2019年には510万トロイオンスに低下していた。近年の購入量を整理すれば、以下のとおりである。

2014年:550万
2015年:670万
2016年:640万
2017年:720万
2018年:880万
2019年:510万

 2014~2019年累計で4,000万トロイオンスあまりを購入した。2020年に入り、1月、2月と、それぞれ30万トロイオンスに縮小していた。

 近年、ロシア中銀は世界最大の金の買い手となっていた。専門家たちの見るところ、金購入は脱ドル化の一環であり、欧米による制裁が拡大する限り、今後もその状態が続くだろうとされていた。

 しかし、中銀は金・外貨準備に占める金の割合を、20%程度の目安に置いていたと見られる。2020年3月1日には、その比率が21%に達し、金額では1,200億ドル相当の金準備を抱えるに至った。これは、コロナ感染の影響で金の価格が上昇したため、金・外貨準備に占めるその比率が拡大したものだった。したがって、たとえ金を追加購入しないとしても、当面、金の比率が拡大していくと見られ、これは金・外貨準備の多角化という観点からマイナスである。専門家によれば、結局のところ金はそれほど流動性の高くない資産であり、現下の市場の情勢からして、流動性を確保しておく必要がある。また、財政ルールの枠内で、従来中銀は外貨を購入するだけだったが、3月には初めて売却するようにもなり、その観点からもより流動性の低い金の比率が拡大することは望ましくなかった。


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