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 ロシアの北極政策を理解する上で重要なポイントの一つに、「北極域(Арктическая зона Российской Федерации)」というものがある。一般的には、全世界的にも、ロシアにおいても、北緯66度33分の「北極線(Северный полярный круг)」よりも北に位置する地域を、「北極圏(Арктика)」と呼ぶ。「北極域」というのは、それとは別であり、ロシアが北極に関する国家政策を推進していく上で指定した特定のエリアのことである。北極域は、2014年4月21日付のロシア政府決定で採択された国家プログラム「ロシア北極圏地域の2020年までの社会・経済発展」で定められたもので、ムルマンスク州、ネネツ自治管区、ヤマロ・ネネツ自治管区、チュコト自治管区の全域と、アルハンゲリスク州、コミ共和国、クラスノヤルスク地方、サハ共和国の一部の区域がその対象となった。さらに、2017年8月31日付政府決定でプログラムが改訂された際に、カレリア共和国の一部区域も加えられた。上の地図はこちらから拝借したものだが、このように後から追加されたカレリア共和国までちゃんと含んだ図は実はレアである。点線が北極線、青い範囲が現状の北極域である。

 さて、最新のこちらの記事によると、北極域の領域を、若干拡大する方向で検討が進んでいるということである。具体的には、コミ共和国、カレリア共和国、クラスノヤルスク地方の一部区域を、新たに北極域に追加する見通しとなっている。それにより、北極域でのインフラ建設をより一体的に推進することが可能になる、といった効果があるようだ。

 なお、こちらのサイトに、ロシアの北極域に賦存する地下資源というお宝マップが出ていたので、それも載せておく。

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