
ちょっとこの週末にロシアのサッカーのことを調べた関係で、昨日に引き続き、サッカーの話題である。
サッカー・ワールドカップのロシア大会で、サランスクという開催都市があったのを、憶えておられる方も多いだろう。というか、日本の初戦が行われたところだったので、実際に行ったという方もおられるかもしれない。そのサランスクに建てられたモルドヴィア・アレーナが、大変なことになっていると、今般遅れ馳せながら知った。
モルドヴィア・アレーナは、W杯終了後は、地元のFCモルドヴィアが本拠地として使用するはずだった。実際、FCモルドヴィアはW杯後の2018/19シーズンには、モルドヴィア・アレーナでホームゲームを戦った。しかし、スタジアムのキャパシティが44,400人であるところ、2018/19シーズンの1試合当たり観客数は10,300人に留まった。新スタジアムの使用料金が高く、それでいて集客は伸びなかったことから、クラブからスタジアムへの未払いが生じ、債務は4,040万ルーブルまで膨らんだ。2019/20シーズンに入ると、FCモルドヴィアはモルドヴィア・アレーナの使用を取り止め、元々あった古い「スタルト・スタジアム」で試合を行うようになった。最近では、FCモルドヴィアの観客数は1,000人を割り込むことが多く、そもそもが二部暮らしということもあって、スタルト・スタジアムくらいが逆に丁度良いのである。
それでは、モルドヴィア・アレーナがまったく活用されていないかというと、実はそういうわけでもない。2019/20シーズンには、別の街のクラブであるFCタンボフが、モルドヴィア・アレーナでホームゲームを開催しているからである。FCタンボフには地元にスパルタク・スタジアムというホームグラウンドがあるのだが、ここは二部およびプレミアの開催条件は満たしておらず、2017年から2020年にかけて改修工事が実施されている。その間、FCタンボフは比較的近場の街でホームゲームを戦う流浪生活を余儀なくされ、プレミア初挑戦となっている2019/20シーズンには、モルドヴィア・アレーナを会場にしているというわけである。しかし、「近場」とは言っても、上掲の地図に見るように、タンボフからサランスクは道路では400km以上あり、5時間以上を要する(鉄道だとさらに不便になる)。
まあ、FCタンボフの家なき子問題は、地元スタジアムの改修が完了すれば、解決するのだろう。問題は、その後のモルドヴィア・アレーナの活用だ。モルドヴィア・アレーナをはじめ、W杯に向けて建設された地方のスタジアムは、当初は連邦の所有だったが、地域の所有に移されることが当初から決まっていた。そして、モルドヴィア・アレーナも、2020年1月1日からモルドヴィア共和国の所有に移管された。これは、今後はモルドヴィア共和国当局が自ら、スタジアムを経営して、その維持費を捻出しなければならないことを意味する。
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