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 引き続き、12月9日にパリで開かれた「ノルマンディー方式」による首脳会談につき、こちらのサイトから、V.ミロネンコ氏(ロシア科学アカデミー・ヨーロッパ研究所ウクライナ研究センター長)のコメント要旨を紹介する。

 ロシア側は、すべては問題なく進んでおり、我が方は何も変えるつもりはなく、ボールはウクライナ側にあるという立場をとった。それに対しウクライナ側は、もはや社会的なチェルノブイリの様相を呈しているドンバスの数百万住民の境遇を何とか改善したいという立場だった。周知のとおり、ドンバスからは250万人がウクライナ本土やロシアに逃れ、残された250万住民の境遇は、年金もなく親類と連絡がとれないなど、厳しいものとなっている。

 フランス人は格好良いポーズをとるのが好きであり、マクロンは欧州の諸問題、安全保障でのリーダーになろうとしていることが見て取れた。一方、メルケルは疲れているように思える。過去数年この紛争でメルケルは的確かつ実利的な立場をとってきたが、ロシア抜きではこの問題は解決できないということを悟り、かといって原則は曲げられないというジレンマがある。

 会談の成果については、はたから見ると、ロシアが勝ったかのように思える。ロシアの政府寄りマスコミは、ウクライナが「シュタインマイヤー・フォーマット」(ドイツ大統領がミンスク合意の実現順序について行った提案)を受け入れ、ミンスク合意が再確認されたと強調している。それだけをとれば、ミンスク合意を具体化するお墨付きが得られ、ロシアの勝利であるようにも思える。

 しかし、より広い視野で見れば、勝ったのはウクライナであり、ロシアは敗者である。ロシアのある政治家は、「お嬢さん(ウクライナ)を幻想から目覚めさせてあげなければならない」と述べていたが、実際に起きたのはまさにそれだった。そして、幻想から目覚めたのは、ウクライナだけでなく、欧州も同じである。このプロセスを注視していた皆が、交渉で何かを成し遂げようとしているのがどちらか、逆にすべて現状のままにしておこうとしているのはどちらかを目の当たりにした。ウクライナ側の若手政治家たちは、もしかしたら本当に、ロシアの路線はウクライナのみならずロシアの国益にも反している(人命、制裁、発展のブレーキ等々)のだということをプーチンおよびロシア指導部に説得できると考えていたのかもしれないが、帰途に就く時にはその試みが無益だということを悟っていた。

 形式的には、両国は停戦、捕虜の交換といった些事について合意し、4ヵ月後に再会すると約したかもしれない。しかし、全体に照らしてみれば、残念ながら、ウクライナがドンバス住民を助けることはできず、せいぜい年金の支払いくらいであり、ドンバスは衰退を続けるだろう。

 ということは、ウクライナとしては自国の問題に集中し、腐敗対策、経済発展、欧州統合の加速を進めるしかない。残念ながら、ウクライナにとっては、NATOのドアをたたくことしか、自国の安全保障を確保する道はない。


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