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 引き続き、12月9日にパリで開かれた「ノルマンディー方式」による首脳会談につき、こちらのサイトから、今回はYe.ガルキナという有識者のコメント要旨を紹介する。

 会談の前には、ウクライナのゼレンスキー大統領の立場が非常に悪いというイメージがあった。マクロン仏大統領はロシアとの戦略的対話の必要を説いていたし、ドイツはノルドストリームを許容した。プーチンにはゼレンスキーに圧力を行使するチャンスが大きいと思われた。しかし、サミットが近付いていたタイミングで、フランス領アルプスにおけるロシア連邦軍参謀本部情報総局の拠点問題のスキャンダル、ベルリンでのロシア人によるジョージア人殺害(ドイツは犯人はロシアの連邦保安局の工作員だと見ている)が起きた。これらが明るみに出たことで、プーチンのサミットにおける立場は当初予想されていたよりも悪化した。

 パリでの会談は、全体としてウクライナにとって有利に進んだ。ゼレンスキーにとっては、捕虜の全面的な交換で合意し、完全な停戦が取り付けられれば成功だったが、それを達成した。また、首脳会談の前、ウクライナ国民は心配していたが、それに関し交渉においてゼレンスキーが明確な線引きをしたことも、成功だった。第1に、ゼレンスキーは、ウクライナは一体的な(つまり連邦制でない)国家であると明言し、その立場を譲らなかった。第2に、ゼレンスキーは、誰もウクライナに政治的な進路を指図することはできないという立場を示した。つまり、ウクライナの方向性を決めるのは国民自身ということである。ウクライナが、領土保全の見返りとして、EUやNATO加盟を諦めると、誰かに対して約束したりしないことが明らかになった。第3に、ゼレンスキーは領土面での譲歩を一切行わないということである。たとえば、ドンバスを得る代わりにクリミアを手放すといったことは拒否した。

 ロシアおよびロシア国民にとっても、パリサミットの結果はポジティブと評価しうる。というのも、ロシア国民はウクライナとの戦争を望んでいないし、クレムリンの周辺諸国に対するアグレッシブな政策は国民の利益にならないからである。一方、ロシアの指導部に関して言うと、もしも指導部がウクライナへの攻撃を望んでいるのなら、パリサミットは成功だったとは言いがたい。ゼレンスキーは何も譲歩せず、和平には関心を持っているが、ウクライナの主権・国家性を犠牲にするつもりはないという立場を示したからである。


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