96991

 周知のとおり、12月9日にパリでいわゆる「ノルマンディー方式」による首脳会談が行われた。ドンバス紛争の解決などをめぐり、プーチン・ロシア大統領、ゼレンスキー・ウクライナ大統領、マクロン仏大統領、メルケル独首相の4者が会談に臨んだものである。

 だいぶ遅れ馳せであるが、この首脳会談の結果につき、こちらのサイトでロシアの3人の有識者がコメントを寄せている。その中から、政治工学センターのA.マカルキン氏のコメント要旨を以下のとおり整理しておく。余力があれば他の人も追って紹介したい。

 今回の会談では、勝者も敗者もいなかった。拘束力のある文書は、一つも結ばれず、意図の宣言がなされただけで、ロシア・ウクライナ双方にとって利益となる捕虜の解放を約束しあっただけだった。恩赦、国境管理、選挙などについては今後さらに精査することとなり、これは長くうんざりするようなプロセスである。原則的な解決は今のところなされていない。

 今回の会談の肝心な点は、長い中断の後に、首脳レベルのノルマンティー・プロセスが再開したということだろう。今後における焦点は、ロシアが西側との関係につきどのような決定を下すかである。クレムリンには地政学的な野心があり、それに多大な資源が傾注されており、特にウクライナについてである。これが起きてから、もう6年になり、「これからどうするのか」ということが問われている。なぜなら、2014~2015年の「ノヴォロシア・プロジェクト」の本質は、ロシアの影響下にないウクライナの政権の承認は拒むというものだからである。この路線を続けるのか、それともそれを見直して、ロシアの影響外にあるウクライナという既成事実を認め、それにもとづいて西側との合意を図るかかという問題である。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ