2

 ユーラシア開発銀行が発行した中欧班列に関するレポートに、目を通してみた(こちらからPDFのダウンロードが可能)。当ブログでも何度か取り上げているように、中欧班列とは、ユーラシア大陸を横断して、中国と欧州を鉄道のコンテナ列車で結ぶ新たな輸送ルートのことである。2011年から始まり、その貨物量は年々拡大している。主なトランジット国は、カザフスタン、ロシア、ベラルーシである。

 それで、今回上掲のレポートを読んで分かったのは、その中欧班列のコンテナ輸送において、ポーランド(ポーランド・ベラルーシ国境を含む)がボトルネックになっているらしということだった。関係者の間では知られた話のようだが、上掲のレポートでは技術的な側面も含めて事実関係が良くまとめられていた。

 レポートによると、現時点で中欧班列を発展させるうえで最大のボトルネックとなっているのが、ポーランド・ベラルーシ国境における処理能力の不足である。ベラルーシのブレストとポーランドのマワシェヴィチェ間の交通量が、きわめてタイトとなっている。中欧班列の実質的にすべての列車が、このルートを通る。ポーランドのインフラ・機関車・貨車の状況を考えると、ブレスト~マワシェヴィチェのルートでのコンテナ輸送量をこれ以上拡大できるかは疑わしい。すでに現時点で、1日14本の列車の通過が合意されていながら、実際にはポーランド側は9~10本しか受け入れていない。ポーランド側は、ポーランド・ベラルーシ国境の既存の5箇所の鉄道通過ポイントをすべて稼働させ、ベラルーシ側での積み替え作業も含め、処理能力を高めることによって、状況が改善されることを期待している。

 EUによる2014~2020年の102億ユーロに上る支援プラグラムの枠組みで、ポーランドは鉄道インフラに投資をすることができる。しかし、ポーランドはバルト海~アドリア海輸送回廊の構築を重視しており、現在実施中か計画中のプロジェクトはすべて、南北方向での鉄道輸送の発展を目指すものとなっている。

 ポーランドのインフラの制約により、ブレスト~マワシェヴィチェの国境通過ポイントでは最大3,500の貨車が滞貨している。重慶~デュイスブルク間の自社の貨物が2~3日滞貨するということで、HP社も懸念を表明しているし、中国の他の都市からの列車では5~6日遅れることもあり、その際のボトルネックがまさにポーランド・ベラルーシ国境となっている。海運と比べてのスピードを売りとする中欧班列にとっては、競争力にかかわる問題である。

 ベラルーシ側は、ブレスト北駅の近代化のための投資プロジェクトに着手しており、これにより処理能力の拡大と時間の短縮が図られると期待される。800万ドルを投じ、2018~2019年に完了する予定。さらに、ポーランド側のクジニツァ駅へと通じるブレスト州のブルズギ駅と、シェミャノウカ駅へと通じるスヴィスロチ駅のインフラも発展させ、対ポーランド国境での処理能力向上を図り、その投資総額は1,000万ドル。

 ただし、レポートによれば、これらによってもポーランド・ベラルーシ国境のボトルネックは完全には解消しない。中国は欧州向けのコンテナ列車を2020年までに年間5,000便にすることを計画しており、それに追いつかないからである。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ