2019_07

 ロシア産のガスをウクライナ経由で欧州市場向けにトランジット輸送する現行の契約は、2009年に結ばれたものだが、本年2019年末をもって満了することになっており、今後どうするかが大問題となっている。本件につき、こちらに出ている概説記事のポイントだけ整理しておく。

 ストックホルム仲裁裁判所の判決で、ナフトガス・ウクライナがロシア・ガスプロムに2013~2014年のガス供給に対する債務20億ドルを負っている一方、後者は前者に対してトランジット代金の未払い47億ドルがあることが確認され、相殺後にガスプロムの対ナフトガス債務が25.6億ドル存在することが認定された。ガスプロムはそれを不服とし、2018年3月に契約を解消する手続きを始めた。現在のロシア・ウクライナ間のガス論争で、ロシア側はストックホルム判決の問題を解消することを条件に掲げており、7月半ばにプーチン大統領がその点を明言した。だが、ロシア・ウクライナ・EUという交渉当事者3者の利害は大きく食い違っており、契約が切れるまでに残された時間は少ない。

 ロシアは短期のトランジット輸送契約を結び、ノルドストリーム2、トルコストリームというパイプラインプロジェクトを推進することを望んでいる。先日、ロシア・トルコ政府間委員会の席で、A.ノヴァク・エネルギー相が、ウクライナとのトランジット契約を1年延長することを提案していると述べた。

 ウクライナはロシアからのガス輸入を2015年に停止し、現在は長期トランジット契約を結ぶことを希望している。EUも同様の立場であり、1月の3者会合の際には新たなウクライナ・トランジット契約の主要点を提示した。年間900億立米、最低輸送料を600億立米とする10年以上の輸送契約を結ぶというものだった。

 次の3者交渉は、2019年9月にブリュッセルで開かれる。立場を明確化し、妥協を見出すために残された時間は多くない。ロシアにとってはストックホルム判決の問題を解決するのが重要だが、同時に、ノルドストリーム2、トルコストリームが遅延することによるリスクも承知している。対するウクライナとEU側は、10年契約を主張。お互いの請求を放棄する、あるいは中期契約を結ぶといった妥協的を探すことになるのかもしれない。


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