ロシアでは毎年この時期、連邦政府の首相が議会向けに、前年の政府の活動に関し報告を行うことが義務付けられている。昨日4月11日、プーチン首相がその恒例の政府活動報告を行った。今回は、大統領選でのプーチン当選を受けた報告ということで、新政権の方向性が示されるのではないかという注目が集まった。プーチンが行った演説の全文はこちらのサイトで読むことができるが、いかんせん大部なので、私自身きちんと目を通すには至っていない。さしあたり、報道にもとづき、簡単に紹介するにとどめる。

 こちらの記事によると、今回プーチンは3時間43分にわたって議会の演壇に立ったとのことである。昨年は4時間3分だったので、それよりは短いが、今回も熱のこもった演説となったようだ。3時間43分のうち、演説に割いたのは1時間29分で、残りは質疑応答(議員からの16の質問に答えた)や結語に充てられた。演説で最も多く使われた単語は「年」、次に「ロシア」、さらに「~しなければならない」「発展」などと続いた。前年の報告では22回使われた「近代化」という言葉が、今回は8回しか使われなかった。同様に、「イノベーション」も11回から2回に減った。

 なお、3月に修正版が発表された「2020年戦略」が、プーチン新政権の経済政策の基本文書となるのではないかということで注目されているわけだが、私がざっと調べたところ、プーチン演説のなかで「2020年戦略」に言及した箇所は1箇所もなかった(2020年という言葉自体は4回登場し、この年を一つの区切りとして意識していることはうかがわせる)。

 こちらの記事が、プーチン演説の要旨を簡単にまとめている。これによれば、演説の内容を一言で言うと、ロシアは多角化した経済と高い生活水準を備えた世界で最も先進的で強力な国の一つにならなければならない、といったものであるという。プーチンは自らの首相としての実績を誇示した上で、2~3年以内に世界の5大経済国入りする(2011年現在では購買力平価ベースのGDP規模で世界6位の由)という課題を掲げ、そのために必要な5つの優先事項を挙げた。具体的には、①人口状況、②地域の発展(とりわけ東シベリア・極東)、③新たな高質な職、④新経済の構築、⑤ユーラシア統合、が優先事項であるという。

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