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 このほど読了した新刊。野口悠紀雄『平成はなぜ失敗したのか 「失われた30年」の分析』(幻冬舎、2019年)。内容は以下のとおり(前書きより)。

 平成経済史が一気にわかる。
「平成」という時代の失敗の検証なしに、日本は前進できない!
日本人が遅れを取り続ける原因を徹底解明。
 平成の30年間を一言で言えば、世界経済の大きな変化に日本経済が取り残された時代でした。平成時代を通じて、日本経済の国際的な地位は継続的に低下したのです。
 ここで重要なのは、「努力したけれども取り残された」のではなく、「大きな変化が生じていることに気がつかなかったために取り残された」ということです。改革が必要だということが意識されず、条件の変化に対応しなかったのです。
 平成の時代が終わることから、平成回顧ブームが起き、多くのメディアが「平成を振り返る」という特集を組んでいます。
 振り返るのであれば、過去を懐かしむだけでなく、なぜこの時代が日本にとっての失敗の時代になってしまったのか、その原因を明らかにすることが重要です。そうすることによって、平成回顧ブームを意味あるものにすることができるはずです。
 本書は、このような観点から、平成時代の経済を分析し、重要な選択の局面において、本当はどうすべきだったかを考えます。
 それらを、いまの日本経済が抱える問題との関連で取り上げ、将来に向かって日本が何をなすべきかを検証します。主として日本の経済について述べますが、それだけでなく、世界経済についても言及します。とくに中国の変貌と成長が重要な関心事です。
 本書が平成のつぎの時代において少しでも役に立つことができれば幸いです。

 さて、私は野口さんのファンなので、主要著作はだいたい読んでおり、正直に言えば、この本で初めて触れた分析や指摘といったものは、あまりなかった気がする。

 そうした中で、今回新たに、非常に合点の行ったくだりが、以下の箇所だった。もしかしたら、以下の主張も、以前から唱えられていたものかもしれないが、いずれにしても、我が意を得たりと強く感じた。

 成長を実現するのは民間企業の努力であって、政府の計画ではありません。なぜなら、政府が特定の産業や研究分野を「成長分野」と指定して助成すると、資源配分を歪めてしまうからです。政府の判断は、正しいとは限りません。むしろ、誤っているのが普通です。ですから、かえって成長を阻害してしまうのです。新しい産業は、市場における競争を通じて誕生します。さまざまな試みがなされ、生き残ったものが日本経済の主力産業になるのです。

 政府は、産業構造再編の過程に介入すべきではありません。政府がなすべきは、規制緩和を通じて、市場の競争メカニズムを発揮させることです。ただし、このことは、政府が何もしなくてよいことを意味するものではありません。経済成長のために政府がなすべきは、成長のための基本的条件を整備することです。とくに重要なのが、人材(高度な専門家)の育成です。しかし、これについては、何もなされていないのが現状です。


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