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 ロシアやベラルーシといった国々は、強力な大統領制によって、官僚に成果主義を強いるような傾向がある。そして、最近は両国とも輸出促進を重視するようになっており、外国にある出先(大使館、通商代表部)にもそれを推進する役割が課せられている。

 まあ、成果主義も輸出促進も結構なことだが、貿易なんてものは基本的に商品の競争力によって決まるものであり、個々の経済主体が合理的な決定を下したものの積み重ねが輸出額や輸入額といったものに表れるのが基本である。ところが、ロシアやNIS諸国の場合には、「●●市場向けの輸出を●%増やす」といった数値目標が設定され、それが達成されないと、担当者が大統領から叱責されたりするのが、困ったものである。しかも、大使館などが輸出促進に取り組むと言っても、講じられる手段がそんなにあるわけじゃないから、たとえば私どもロシアNIS貿易会にやたらしつこく「我が国のセミナーを開催してくれ」と働きかけたりしてくるのが、困りものである。いや、当会にしてもそれが仕事なので、お手伝いはするけれど、しかるべきテーマや頻度というものがあるわけで、のべつまくなしにセミナーをやれば貿易が増えるというものではなかろう(もしかしたら、先方もそれは承知の上で、いわゆる「やっている感」を出せればそれでいいのか?)。

 前置きが長くなったが、ベラルーシのこちらの記事を眺めて、改めてそんなことを考えさせられた。記事によれば、ベラルーシの各国駐在大使には、輸出拡大の数値目標が設定されており、それが達成されなかった場合には、大使を召還することもありうると、このほどベラルーシ外務第一次官のA.エヴドチェンコが警告した、ということである。まあ、記事では、「大使館自体が貿易をするのではなく、情報面でのサポートを行う」という当たり前のことも書かれているが、ベラルーシの外交官が「大統領に叱られたら困る」とばかりに、外国の団体や企業にしつこくまとわりついたりして、結果的にベラルーシが敬遠されるということは、これまでもあったのだ。


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