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 先日のエントリーで、エカテリンブルグにおいてエリツィン博物館を見学したこと、よく考えてみれば今回のロシア出張の旅程はプーチン(サンクトペテルブルグ)、エリツィン(エカテリンブルグ)、ゴルバチョフ(スタヴロポリ)と、歴代最高指導者の出身地を遡りながら巡る旅であることに気付いたことなどを綴った。

 で、そのブログを書いた後にゴルバチョフのご当地であるスタヴロポリを初訪問したわけだが、事前にある程度分かってはいたものの、ゴルバチョフの不人気振りは地元でもロシア全体とまったく変わらなかった。欧米や日本では、ゴルバチョフはソ連を改革しようとした政治家、冷戦に終止符を打った政治家というイメージで捉えられることが多いと思うが、ロシアでは完全に「超大国ソ連を破壊した愚か者」という評価が一般的である。私などから見ると、どちらかというとゴルバチョフよりもエリツィンの方が破壊的な政治家ではないかと思えるのだが、とにかくロシア国民にとってはゴルバチョフ=偉大なるソ連の破壊者という図式なのである。もっとも、「では貴方は、ソ連国家、ソ連体制が復活することを望むのか?」と訊くと、そうでもないというところが微妙である。今の自由や消費生活を手放したくはないけれど、それでもソ連を壊したゴルバチョフは許せないという、矛盾した態度が見られる。

 ただ、いくらなんでも、地元のスタヴロポリでは、少しくらいはゴルバチョフへのシンパシーがあるのではないかと予想していたものの、まったく見当違いだった。ゆえに、この街にはゴルバチョフの博物館はもちろん、ゴルバチョフ通りも、ゴルバチョフの銅像もない。ちなみに上掲写真はスタヴロポリ地方行政府前の広場に当たり前のように立ち続けるレーニン像。こんな次第で、とにかくソ連~ロシアの歴史の中でゴルバチョフだけが全否定されているという、よく考えてみると不思議な歴史認識が人口に膾炙しているのだ。あ、そういえば、スタヴロポリのある人は、「ゴルバチョフとメドヴェージェフだけは駄目」と言っていたか。


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