ロシアの首都モスクワ市の郊外に当たるモスクワ州では、B.グロモフ氏が12年にわたって州知事を務めてきた。先日グロモフ氏が、近く任期が満了することから、5月に退任する意向であると発言したことにより、その周辺が慌しくなっている。

 こちらの記事によれば、与党「統一ロシア」は3月30日、新たなモスクワ州知事の候補者3名を大統領に提案した。その顔触れは、S.ショイグ(現非常事態相)、I.パルホメンコ(現モスクワ州政府第一副首相)、A.ホディレフ(現モスクワ州レウトフ市長)の3人で、専門家はショイグが本命であると見ているという。

 一方、こちらの記事は、退任するグロモフ知事の主な業績と失政を列挙している。達成した業績としては、①投資の急増、②住宅建設で発揮したリーダーシップ、③スポーツの振興、④給与水準の高さと失業率の低さ、⑤充実した社会保障、を挙げている。一方、失政または躓きとしては、①2010年の猛暑による火災と空気の汚染、②住宅・公営事業および道路の状態の悪さ、③汚職と債務、④地下カジノとそれに関与した検察・警察幹部の逮捕、⑤投資詐欺事件の被害者の多さが挙げられている。

 さて、モスクワを国際金融センターにするというメドヴェージェフ大統領の政策を受け、グロモフ州知事の決定により、モスクワ州の一部の区画をモスクワ市に移管することが決められた。上掲記事によると、2012年7月1日付で境界が変更されることになっており、この「大モスクワ」事業を完成させることが新知事の大きな仕事になるという。グロモフ知事自身は、モスクワ市を拡大しなければならないことはずっと前から自明だったが、ルシコフ前モスクワ市長との没交渉ゆえにその解決が困難だったと発言している。世論調査によれば、モスクワ市に移管されるモスクワ州住民の大多数は、就職の機会や生活条件が向上すると考え、決定を前向きに受け止めている。しかし、境界が変更されることになる地区の行政は、困難に直面する可能性もあるとされている。

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ