こちらのサイトに、ロシアの輸入代替政策、モスクワ市による工業団地創設の構想に絡めて、ロシアにおける自動車コンポーネント生産につき論じた記事が出ているので、要点を整理しておく。

 モスクワ市では、複数の自動車コンポーネント生産専門の工業団地を整備し、ロシアの輸入代替に貢献するつもりである。モスクワ市のO.ボチャロフ科学・産業政策局長がこのほど表明した。2月の初めにS.ソビャニン・モスクワ市長が述べたところによると、今後3年間で1,700億ルーブルを投じてビジネスを支援する意向であり、その柱の一つがモスクワにおいて自動車コンポーネントの生産を促進することである。すでに旧モスクヴィチ工場の敷地150haにおいて自動車コンポーネントに特化した工業団地が準備されつつあり、ルノー向けのコンポーネント生産を手掛けるAAT社、コンポジット・ナノテクセンターに入居が呼びかけられている。

 自動車コンポーネント生産はロシアにとって喫緊の課題。ロシアの乗用車販売市場は世界有数の規模で、年間230万~250万台の新車が販売されている。うち、ロシア国内で生産されたものが、2014年には190万台で、生産能力は300万台におよぶ。ロシア生産車の3分の2強が、外国ブランド車の組立だが、その現調率は45%という低いものに留まっている。ロシア国産ブランドのAvtoVAZでさえ、コンポーネントの24%を輸入に頼っており、特に新モデルでその傾向が高い。専門家によれば、自動車コンポーネントの輸入は年間1,000億ドル規模に上っている。輸入に依存する部分が小さくないので、ルーブル下落でロシア国内の自動車生産が危機に陥り、いくつかの工場は操業停止を余儀なくされている。

 下図に見るとおり、世界の主要な自動車コンポーネント・メーカー(タイヤも含む)は、ロシアの大手石油会社であるガスプロムネフチに匹敵する売り上げを挙げている。現在のところ、ロシアのコンポーネント・メーカーはここには登場しない。

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