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 何年か前に、モスクワで開催された金属産業見本市を視察したことがあるのだが、その時の写真を整理していたら、上掲のようなものが目に留まった。「モルドバ冶金工場」のブースである。「モルドバに製鉄所?」と一瞬驚いたが、記憶を辿ると、ああそんな企業もありましたねと、思い出した。拙著『ウクライナ・ベラルーシ・モルドバ経済図説』でも取り上げていたし。「モルドバ冶金工場」と称してはいても、この企業はモルドバからの分離独立を唱えている沿ドニエストル共和国に所在している(ルィブニツァ市)。経済図説で解説したとおり、沿ドニエストルにはこれ以外にも、総合悪徳会社の「シェリフ」、モルドバ地区発電所といった大企業があるわけだが、どうやらメーカーとしてはモルドバ冶金工場が最大のようである。

 むろんモルドバ冶金工場の公式HPもあるが、こちらの記事の方がどんな会社なのか分かりやすいかもしれない。同社は基本的に、ロシアの大富豪として知られるA.ウスマノフ氏のメタロインヴェスト社の傘下にあり、またウクライナのR.アフメトフ氏も部分的に出資をしている(いた?)ということである。工場は1985年に稼動を開始し、年間68.4万tの粗鋼、50万tの完成鋼材生産が可能。

 私は、ドンバスが非承認国家になったら、アフメトフの鉄鋼業は破綻すると論じていたが、モルドバ冶金工場の例を見ると、もしかしたら生き残りの術というものがあるのかもしれない。



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