昨年暮れにロシアのWTO加盟が決定したが、こちらの記事によると、ロシア政府は国家調達の際に国内企業に優遇を適用するセクターを拡大し、WTO加盟による影響を緩和しているという。記事の要旨は以下のとおり。

 ロシア経済発展省は、国家調達の際に国内企業を優遇する対象となるセクターのリストを、拡大することになった。WTO加盟による影響が特に大きい企業が、その対象になった。経済界は総じてこの決定を歓迎している。優遇措置に必要となる費用は、年間数百億ルーブルとなると見られる。

 経済発展省が起草した省令には、国家調達の際にロシア企業を優遇する一連の措置が盛り込まれている。ナビウリナ大臣はプーチン首相に、これは国際競争力のないロシア企業を保護するために計画している保護措置の一例にすぎないと報告した。これにより、国家調達の際にロシア産品は契約価格の15%分優遇されることになるという。

 国家調達で国内企業を優遇する最初の省令が出たのは2009年であり、その際には経済危機対策として広範なセクターに多様な優遇措置が適用された。その後セクターは縮小し、最後は機械、医薬品、繊維、畜産を残すのみとなった。旧省令は2011年一杯で効力を失い、2012年1月1日からは優遇措置がない状態が続いていたので、産業界はそれを待っていた。そして今回は、WTO加盟が決まったことを受け、再びそのリストを拡大し、建設・道路機械、製紙、養豚、砂糖なども含めることが決まったものである。産業・商業省はより広範なリストを主張していたが、経済発展省は最もセンシティブなセクターに絞ることに決めた。新しい省令は1ヵ月以内に発効する見通し。

 WTOの枠内で、国家調達の際の国内・外国企業の平等を取り決めた協定もあるが、それはすべてのWTOにとって義務付けられたものではなく任意であり、ロシアは数年間をかけてこの協定に参加するかどうかを決めるとの立場を明らかにしている。

 なお、2012年から共通経済空間協定が発効したことに伴い、ロシア企業だけでなくベラルーシ企業も同じ優遇措置の対象となる。カザフ企業については、2014年から対象になる予定である。