モルドバはCIS自由貿易条約に加わっているため、これまでロシアはモルドバからの輸入に基本的に関税を適用してこなかった。しかし、先日モルドバがEUと連合協定を締結し、両者間のFTAが成立する見通しとなった。これを受け、既報のとおり、ロシア政府はモルドバの産品に対する輸入関税の導入を準備していたが、7月31日付の政府決定でこれを正式決定した。こちらの政府サイトに情報が出ており、こちらで政府決定のテキストを読むことができる。

 これを見ると、2011年10月18日付のCIS自由貿易条約の付属文書で、関税同盟諸国は保護(または報復)措置を共同または単独で講ずる権利があるとされているそうで、今回のロシア政府決定はその権利を行使する形のようだ。CIS自由貿易条約の加盟国が、別の統合組織に参加し、その結果として別の加盟国に深刻な侵害を与えた場合に、当該の権利を発動できるということだ。2014年7月16日のユーラシア経済委員会の理事会で、ベラルーシおよびカザフスタンはロシアがそのような措置を一方的に講じる権利を確認した(注:ということは、ベラルーシおよびカザフはモルドバに関税を導入しないのか)。そして、今回の政府決定の付属文書を見ると、ロシアが関税を課すモルドバ産品の具体的な対象品目は、農産物・食料品と家具に限定されている。関税率は、ロシア・ベラルーシ・カザフスタン関税同盟が共通で適用している一般関税率ということだ。


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