本日3月4日は、ロシア大統領選の投票日。ロシアでは、投票日の当日はもちろん、確か前日も選挙運動は禁止されており、それまでの喧騒が嘘のように、テレビのニュースなんかも落ち着く。世論調査の結果なんかも、確かこの両日は発表できなかったはず。ただ、昨今はロシアでも報道の重心がある程度ネットに移っており、ネットでは古い記事は閲覧できるわけだから、この2日間の選挙運動や関連報道の禁止というルールが、どれだけ意味があるかは微妙かもしれない。

 現に、たとえばレヴァダ・センターのこちらのサイトを見ると、2月半ばに実施された最新の世論調査の結果が、ばっちり出ている。そこで、ここに掲げられている各候補の支持率を、以下のとおりグラフにしてみた。「貴方は大統領選で投票に参加するか? もし参加するなら、下記の政治家のうち、誰に入れるか?」という設問に対する回答を、12月から2月にかけての時系列でまとめたものである。


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 これに見るように、本命のプーチンの支持率がじわじわと拡大し、2月の時点で、全有権者に対して45%の支持を集めている。これには、棄権する人も含まれているので、それを除き、母数を投票に参加する意向の有権者に限ると、プーチンの支持率は60%になる。さらに、すでに誰に入れるかを決めている向きを母数にとると、プーチンの支持率は66%に高まる。このレヴァダ・センターの数字が中立・客観的なものであるとしたら、順当に行けば、プーチンが第1回投票で過半数を得票し当選を決めることは、確実と思われる。

 外国人の目から見ると、「こんなに絶対優勢なのに、なぜ野党やマスコミを圧迫したり、票を改竄したりするのか?」と、不思議にも思われる。私の見るところ、要するにプーチンは単に選挙に勝って政権の座に就くだけでなく、これまで築いてきた強固な支配体制を維持しようとしているからこそ、苦労しているのであろう。単に、最終的に過半数を取って勝つというだけでは、駄目なのである。戦争に例えるならば、戦争自体の勝ち負けというよりは、「戦後秩序」の方に重きがあると、そんな言い方ができるかもしれない。

 個人的なことだが、この記事をもって、HPの「ロシア研究コーナー」の記事が、200本に達した。2010年4月に同コーナーを始めた時には、週に1本くらい記事を書いて、引退するまでに1,000本書けたらいいななどと思っていたのだが、今年に入ってから大統領選を見据えてロシア情勢のフォローを強化したのと、最近になってスマホ(というかiPod Touch)でこまめにニュースをチェックする習慣をつけたので、短めの記事ながら1日2本くらい記事をアップするペースになっている。このままだと、1,000本達成は、あっという間かもしれない。他方、HPの「ロシア研究ノート」のページが、想定外に記事が増えたせいで、Dreamweaverで編集する際にやたら動作が重くなり、苦慮している。ちょっと、方式を考え直さないといけないかもしれない。