私はロシアの経済特区を研究しており、1年ほど前には「ロシア経済特区の新展開 ―サマラ州とスヴェルドロフスク州に工業生産特区―」というレポートを書いたりもした。そのレポートでも紹介したサマラ州のトリヤッチ工業生産特区だが、関係者の強い意欲とは裏腹に、正式に入居が決まる企業が次々と現れるということにはならなかったようだ。ただ、最近の報道で、ようやくぽつりぽつりと企業の入居が決まり出したようなので、その動きをまとめておく。

 こちらの記事によると、まず2011年5月に、2社の入居が決まったということのようだ。具体的には、TPV RUS社(ООО "ТПВ РУС")と、ジェレズヌィ・パトーク社(ООО "Железный поток")であった。TPV RUSはスロベニア・ロシアの合弁で、トリヤッチ特区でLADA Granta向けのシートを生産、1,400万ユーロの投資を予定している。ジェレズヌィ・パトークは硬合金製品を生産を計画しており、4.2億ルーブルを投資する。両プロジェクトによって850名の雇用が確保される。

 これに続き、2011年12月には、ハンドルシステム・プラス社(ООО "Рулевые системы плюс") が特区入居者の認定を受けた。同社は過去10年にわたってAvtoVAZおよびGM-AvtoVAZに油圧ハンドルシステムを納入する最大のサプライヤーだった。特区に3.5億ルーブルを投資して、生産を2倍に拡大するとともに、新しいタイプの製品の生産に着手する予定で、190人分の新規雇用が生まれる。

 同じ記事によれば、2012年にはトリヤッチ特区の入居企業がさらに4社増える見通しで。うち1社のテフオプトニカ社(ООО "ПКФ "ТехОптоника")は省エネ照明の生産を計画、335名の新規雇用を見込んでいる。

 一方、こちらの記事によると、サマラ州のV.アルチャコフ知事は3月2日、前出のジェレズヌィ・パトーク社とハンドルシステム・プラス社に特区入居認定証を授与した。両社は迅速に、本年第2四半期に建設作業に着手する予定。その建設作業と並行して、特区のインフラ建設も実施される。この記事によれば、ハンドルシステムは200名の雇用を創出し2013年稼働予定、ジェレズヌィ・パトークは260名の雇用を創出し2014年稼働予定となっている。