冬季休暇で中断していたロシア・プレミアリーグが3月3日に再開するのを前に、こちらの記事が残りのシーズンの展望を論じているので、以下のとおり抄訳しておく。

 ウィンターブレーク中に上位のクラブは、より上の順位とUEFAのカップ戦への出場権をめざして補強を行っており、これが力関係を変えることは大いにありうる。秋春制への移行に向けた変則シーズンである今季は、残りのリーグ戦を上位グループと下位グループに分けて戦うことになっており、上位グループでは直接対決が続くので、順位が動きやすく、スリリングなリーグ戦になる。

 首位のゼニトは、当初ストーブリーグの動きは鈍いように思われ、むしろ内部改革に注力していた。スパレッティ監督は、スポーツディレクターのI.コルネエフの排除に成功し、今やスパルタク・モスクワで監督とGMを兼務して全権を振るうV.カルピンに匹敵する権力を掌握した。ただし、最後の最後になって、移籍市場でも動いた。ウィンドウが閉まるわずか40秒前に、イングランドのアーセナルからA.アルシャヴィンをレンタルで獲得したのである。アルシャヴィンには重い怪我を負っているダニに代わる役割が期待されている。現在6ポイント差をつけて首位に立っているゼニトだが、アルシャヴィンの獲得がなかったら、サポーターの不安は募っていたことだろう。

 ゼニト追撃の一番手は、CSKAモスクワである。CSKAはヴァグネル・ラヴを放出したが、本田圭佑の引き止めには成功し、弱いポジションの補強も行った。具体的には、ボランチのボジションにスウェーデン人プレーヤーのヴェルンブルムを獲得、当初の期待度はそれほどでもなかったが、チャンピオンズリーグのレアル・マドリッド戦で同点ゴールを挙げ、球団社長のYe.ギネルは「もう移籍金の元がとれた」と喜んでいる。右サイドの新戦力である若きナイジェリア人プレーヤーA.ムサは、やはりマドリッド戦で敵の守備陣を脅かしている。

 もう1チーム、補強に成功したのが、ディナモ・モスクワである。同チームの場合、セカンドラウンドが低調だったのは2つのポジションの問題点ゆえだったが、まさにその2つのポジションで補強に成功した。左サイドでアンジ・マハチカラからB.ジュジャクを、セントラルMFにルビンからK.ノボアを獲得した。ただし、外国人枠が一杯になったので、誰かを放出しなければならない。

 これに対し、ロシア人プレーヤーの獲得で補強を成し遂げたのが、スパルタク・モスクワである。これまで同クラブには傑出したロシア人プレーヤーがいなかったが、このほどイングランドのエバートンからロシア代表で左でも中央でもプレーできるD.ビリャレジノフを獲得した。この移籍はロシアのサッカー界に大きなインパクトを与えたが、移籍金は700万ユーロという今日の相場からすれば格安なものだった。

 ロシア人のスタープレーヤーが国外からロシアに出戻るというのがこの冬の移籍市場のトレンドとなり、アルシャヴィンとビリャレジノフの他にも、R.パヴリュチェンコがトッテナムからロコモティヴ・モスクワに移ることになった。パヴリュチェンコは、トッテナムでスタメンを外れることが多かったものの、ヨーロッパリーグや国内のカップ戦とはいえ、出場機会を与えられれば相変わらずのゴール感覚を発揮していた。ヨーロッパリーグでのアトレチコ戦を前にして、FWの駒不足に悩むロコモティヴにとっては、打って付けの人材である。

 しかし、 最大のセンセーションは、アンジ・マハチカラがヒディンク監督を招聘したことである。Yu.クラスノジャン監督はわずか46日間チームを指揮しただけで、1試合の公式戦も戦うことなく、何の説明もないまま解任された。それに代わって、年間1,000万ユーロとも言われる報酬で、ヒディンクを引っ張ってきたのである。これまでアンジにはステータスの高い監督が足りなかったが、ヒディンク以上に権威のある指導者がいるはずもなく、彼にならばロベルト・カルロスやサミュエル・エトーも口答えできまい。3位までの勝ち点差が6しかないことを考えれば、アンジが残りのシーズンで大幅に順位を上げても不思議でない。

 下位グループでは、プレミア残留をかけた戦いが熾烈となる。15位と16位が下部リーグに自動降格するだけでなく、13位と14位も、来季のプレミア参戦をかけて、下部リーグの3位、4位のチームとプレーオフを戦わなければならないのである。


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