まだ流動的だが、とても気になる動きなので、触れておく。既報のとおり、EUが対ベラルーシ制裁を拡大したことで両者間の緊張が高まっているなか、こちらの記事によると、EUが制裁を政治家や官僚だけでなく実業家にも広げる動きを見せているらしい。以前HPで「ベラルーシ長者番付」なんていう話題を披露したが、要するにそこで名前が挙がったようなベラルーシの大実業家たちがEUの制裁(EUへの入国禁止)の対象になろうとしているようだ。

 記事によれば、具体的には、トライプル社のYu.チジ氏、サンタ・インペクス・ブレスト社のA.モシェンスキー氏、アムコドール社のA.シャクチン氏、タバク・インヴェスト社のP.トプジジス氏が制裁対象候補として挙げられている。ただし、EU諸国の間でも経済的利害から意見の相違があり、たとえばスロベニア企業がチジ氏と組んでミンスクでのホテル建設事業を手掛けようとしているので、スロベニアは同氏をブラックリストに入れることに反対しているという。ラトビアもチジ氏を制裁対象に加えることに反対しているという情報も流れたが、ラトビア外務省はこれを否定、同国では自国の経済界に対しEUがベラルーシに経済制裁を実施する可能性があることを警告しているという。

 以上が記事のあらましである。ただ、確かにこれらの実業家はルカシェンコ政権と協力することで財を成しているのかもしれないが、実業家のEU入国を禁止することが果たしてベラルーシの自由化に資するのかという疑問もあるし、とくに個人的にはサンタ社のモシェンスキー氏と懇意にさせていただいていた時期もあったので、心が痛む。