こちらの記事が、ロシアの消費市場でいわゆるEコマース、商品のインターネット販売が拡大しているということを伝えているので、その要旨をまとめておく。

 現時点で、商品の販売でインターネット経由がどれだけの割合を占めているかを、商品分野ごとにまとめたのが、下図である。Synovate Comconという調査会社がまとめたものだ。これに見るように、衣料品・靴や玩具などで、2011年にネット販売が伸びた。靴、家電などでは逆に縮小したが、これらは依然としてネット販売の中心的な存在であり、この業態に最大の売上高をもたらしている品目は家電となっている。なお、本の購入でネット経由が減ったのは、タブレットなどで無料で読める電子書籍が増えたからではないかと分析されている。

 2011年にはロシアの610万人の市民がネットで買い物を行い、前年の520万人から16.5%増大した。ここに来ての拡大は、地方への浸透によるところが大きいと指摘されている。また、利用者の数だけでなく、既存の利用者の利用頻度も増えている。

 Synovate Comconのデータとは整合しない別の調査結果もある。たとえば、ネット販売大手の「オゾン」では、2011年にもっとも伸びたのは玩具、家庭用品、スポーツ用品だったとしている。また、GfK Retail Auditによれば、デジタル・生活家電の販売に占めるネット販売の比率は、2011年に入ってから伸びているという。また、家電販売大手のMヴィデオも、デジタル小物に加えて大型家電でもネット販売が伸びているとしている。

 TKBキャピタルのアナリストによれば、ロシアにおけるインターネット販売の市場規模は、100億ドルを超えたところであり、すでに2,000億ドルに達している米国と比べればまだだいぶ開きがある。


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