こちらのニュースによれば、ロシア経済発展省のA.スレプニョフ次官が会合の席で、関税同盟/共通経済空間の現状と展望につき語ったそうなので、その要旨を以下のとおりまとめておく。
「ユーラシア経済委員会」は、通商、投資、パートナー諸国との関係調整といった分野で徐々に超国家的な機能を拡大している。とくに、委員会の委員を兼任するロシア経済発展省のA.スレプニョフ次官がエコノミストらとの会合で昨日述べたように、アジア太平洋諸国とのFTA締結の当事者となる可能性がある。もっとも、共通経済空間の枠組みでの統合で、目下のところ最大の勝ち組となっているのは、カザフスタンということである。
スレプニョフ次官によれば、共通経済空間の総人口は1.7億人、経済規模は5,000億ドルである(うち87%がロシア)。本年初頭から、ユーラシア経済委員会、ユーラシア経済共同体裁判所が機能し始め、17の協定が発効したが、それらが完全に実現するのには5~7年かかる。それが終わる2015年(?)までには、ユーラシア経済共同体の憲法のような単一の文書が採択されるであろうと、スレプニョフ次官は述べた。
現在のところ共通経済空間は、近いうちにASEANとの枠組み協定を結ぶことを検討している。ベトナムをはじめ、アジア太平洋諸国の国々との自由貿易圏締結も検討している。ただ、ロシア産品の競争力はベトナムのそれに大きく劣るので、輸入品に圧迫される恐れがあり、ベトナムがアジアの多くの国々とFTAを有していることを考えれば、その影響はさらに大きい。ただし、交渉により、互恵的な協定を達成することが可能になるだろうと、スレプニョフは述べた。現在のところ、ロシアの輸出総額に占めるアジア太平洋向けの比率は30%弱、一方輸入は20%である。
スレプニョフによれば、ユーラシア経済委員会に委任される権限分野で決定を下す際に、行政的な圧力が低下することも、利点の一つとなりうる。というのも、3国の規模が異なるにもかかわらず、平等の原則がとられ、評議会に各国から3人の副首相が、参与会には各国から3人の代表者が加わるからだ。「管轄の競争」により、多くの問題で、より効果的な決定が下されるようになるだろう。世界のビジネス環境評価では、カザフが47位で、ロシアの120位より高い。その点、現在のところ、勝ち組となっているのはカザフであり、ロシアの国境地帯の地域から企業がカザフへと流出する動きが見られる。カザフを通過して中国製品が流入している問題に関しスレプニョフは、以前からその「穴」はあり、高い関税を回避してそこから商品が流入していたわけで、現時点で課題となるのは3国および企業が合意に違反しないよう的確に監視をしていくことだと指摘した。