こちらのサイトで、政治工学センターのA.マカルキン第一副所長が、27日に発表されたプーチンの外交論文に関しコメントしているので、その要旨を以下のとおりまとめておく。

 論文自体は、実質的に、ロシアにとってのリスクを列挙するものとなっている。中国との間ではリスクが少なく、西側との間では多いとされている。論文の眼目の一つは、ロシアと米国の「リセット」が終わりを迎えたという点にある。何が書かれているかということだけでなく、何が書かれていないかという点を見なければならないが、「リセット」という言葉が一切登場せず、ここ数年で米国との間で達成した成果に触れられておらず、どうやらそれを否定的に評価しているようだ。他方、論文ではCISについて語られていないが、これはCISの優先度が低下したということではなく、すでに昨年の論文でユーラシア連合について語ったので、繰り返す必要はなく、この間に達成した成果もないので、特に言及しなかったのだろう。中東問題もリスク要因として挙げられており、これにはリビアという武器輸出先とシリアというロシアにとって中東最大の同盟国を失うかもしれないという対外的な面と、アラブの春が伝播することへの懸念という国内的な面とがある。それゆえに、外国からグラントを受け取っている国内NGOを脅威と受け取ることにもなる。論文では、インターネット、ソーシャルメディア、携帯通信が、進歩の要因としてだけでなく、脅威としても語られている。もっとも、どんな形であれインターネットを規制しようとするとネットの世界からきわめて否定的な反応を招くので、それらにどのように対処するのかの具体策は述べられていないが。もしもロシアで中国型のネット規制を導入したら、不満が爆発するだろう。マカルキン氏は以上のように述べた。