スレイマン・ケリモフ氏と言えば、ロシア、というか世界有数の富豪として知られる。2011年1月から同氏がアンジ・マハチカラというロシア・ダゲスタン共和国のサッカークラブのスポンサーになり、豊富な資金力でど派手に選手を買い集めていることが話題となり、最近日本での知名度も高まっていると思われる。同氏に関する「スレイマン・ケリモフ:秘密のオリガルヒ」と題する記事が、2月10日付の『フィナンシャル・タイムズ』に出た。ただ、私自身は、それを伝えた2月13日付の『コメルサント』紙でその内容を読んだ。以下、記事の要旨を簡単にまとめておく。

 ケリモフ本人も、その右腕のアレン・ワインも、ケリモフが米国の投資銀行の株式をどれだけ保有しているのかは明かそうとしない。いくつかのケースでは、出資比率は3%にも上るという。関係者によれば、これらの出資はしばしば、西側の銀行やヘッジファンドからオプションを通じて巨額の借入を行って実現したものだという。ケリモフの出資100に対し、80は銀行が担保として押さえているとのことだ。だが、それでもケリモフは堂々と、大口の株主として当該銀行の経営陣との会見を求めるのだという。そして、大銀行の幹部がケリモフのモスクワの自宅に招待されるまでになった。

 その際に、銀行家たちにとってケリモフはしばしば、クレムリンの延長上の存在で、政府と歩調を合わせて動いているように見えるのだという。ただ、ケリモフ自身は、自分が投資しているのは自前の資金であり、プーチンとは数年前に公式行事で一度会ったことがあるだけであると主張している。

 『フィナンシャル・タイムズ』が得た情報によれば、ケリモフは自らの西側銀行とのコネクションを活用し、クレムリンが推進しているモスクワ国際金融センター構想を後押ししようとしている。彼の助力のお蔭で、同プロジェクトはJPモーガンのジェイミー・ダイモン、Citigroupのリチャード・パーソン、Blackstoneのスティーヴン・シュヴァルツマンといった西側の大物金融家たちの支持を受けることができた。2011年10月28日に本プロジェクトに関する国際諮問会議の第1回会合が開かれ、彼ら全員が駆け付け、ケリモフがプレゼンを行った。